中国基礎講座:中国と日本の監査比較からわかること。

こんにちは。
中国・上海の執行 一希 (ジッコウ カズキ)です。
本日は中国における会計監査に関してについてお話します。

 

中国では会計監査が義務付けられており、日本との監査の違いを比較し、理解を深めていきたいと思います。

 

監査とは委託者(投資家、株主総会、経営幹部、国会など)から財産の運用権限を委託されている受託者の会計責任が正しく果たされているか、信頼性の程度を確かめるために、第3者(公認会計士、監査役、内部監査人、会計検査院など)が、事後的に会計をはじめ各業務の実情を検討し、立証基礎に対する証拠付けの正当性を確認し、その結果を委託者に伝達することです。

公認会計士は国家資格であり、資格を得るためには金融庁の公認会計士・監査審査会の実施する国家試験に合格が必要になります。
合格後、実務補修、2年間の実務経験を経て日本公認会計士協会で登録、公認会計士として働くことができ特権業務である監査ができるようになります。

 

日本の監査では大きく分けて、「法定監査」と「任意監査」の二つがあり、この「法定監査」の一つに金融商品取引法監査と会社法監査があります。

法定監査は下記の法律によって求められています。
会社法において、会計監査人の監査が義務付けられるのは以下(1)~(3)の会社です。

会社の種類
(1)大会社(会328条 第1項・第2項)
(2)監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社(会327条第5項)
(3)会計監査人の任意設置を行った会社(会326条第2項)

 

金融商品取引法監査においては、金融商品取引法第193条の2に基づき、証券取引所に株式を上場している会社は金融商品取引法に基づく公認会計士監査を受けることが義務付けられています。
そのため、上場会社で監査を受けていない法人は上場廃止となります。
金融商品取引法監査では財務諸表監査と内部統制監査の2種類あり、内部統制監査の対象となる企業は上場企業です。

 

任意監査 は法律で定められていませんが、下記の場合行います。

株式公開準備のための準金融商品取引法監査
法定監査以外の企業の財務諸表監査(取引先が任意監査を求める場合、行います。)
公益法人、医療法人、社会福祉法人の監査

 

中国では会社法(第一百六十四条)で法定監査が求められ、日本と同じく、中国公認会計士(注册会计师)が監査業務を行うことができます。

 

中国では決算期間(1月~12月)が会社で統一されており、そのため1月~3月頃までは中国公認会計士の繁忙期となっております。
日本では99%が中小企業と言われ、監査を行っていない会社が少なくないなか、中国ではほとんどの会社が法定監査を行っています。

 

しかし、監査報告書を当局へ提出義務がないため、中国の国内の会社でも作成していない会社も見受けられます。
とはいっても法律で定められている以上、中国では監査を受けることを勧めております。

 

監査を受けた際に、不適切な記帳が発見されますと、修正を求められることが往々にしてあります。
そのため、財務責任者はもちろんのこと、総経理は中国における一定程度の会計を理解しておく必要があり、総経理は会社法上、株主への財務報告義務もあるため、分かりません、知りませんでしたでは済まされません。
総経理に着任した際には日本との違いを認識し理解することの重要性を感じていただければと思います。

 

東京コンサルティングファーム 中国・上海では監査に関するご相談を承っております。まずはご相談くださいませ。

 

今週もどうぞよろしくお願い致します。

 

参照:

会社法(中国)第一百六十四条
会社法(日本)328条 第1項・第2項
会社法(日本)会327条第5項
金融商品取引法第193条の2第1項

 

东顾企业管理咨询(上海)有限公司 / Tokyo Consulting Firm Shanghai
執行一希 (jikko kazuki)


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