持分譲渡時の税務処理について Q&A

 

こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日は、持分譲渡時の税務Q&Aについてお話します。

Q1、持分譲渡時にどのぐらい税金を支払うことになりますか。
A1、直接持分譲渡する場合と配当後持分譲渡する場合で納税する金額が異なります。
下記表をご覧ください。

中国子会社の貸借対照表

資産 400 資本金 100
    繰越利益剰余金 300

【中国子会社の配当および持分譲渡にかかる税金の比較】

  直接持分譲渡 配当後持分譲渡
譲渡所得額または配当可能額 300(譲渡所得額) 300(配当可能額)
譲渡所得税または配当源泉税 △30(譲渡所得税) △30(配当源泉税)
税引き後譲渡益または配当送金額 270(税引き後譲渡益) 270(配当送金額)

 

【日本親会社における法人税処理】

  直接持分譲渡 配当後持分譲渡
税引き後譲渡益または配当送金額 270(税引き後譲渡益) 270(配当送金額)
中国における譲渡所得税または配当源泉税を加算 30(譲渡所得税) 30(配当源泉税)
課税所得額 300 15(=300×5%)
法人税(40%) 120 6
外国税額控除 30 0
手取り額 180(=270-120+30) 264(=270-6)

・直接持分譲渡

直接持分譲渡する場合、譲渡所得額は300(=譲渡収益400 – 譲渡原価100)となり、譲渡所得税率10%が課税されます。その後、日本法人税法上、課税所得額300(=税引き後譲渡益270 +譲渡所得額30)が計算され、40%の法人税が課税されます。

さらに、中国における譲渡所得についての企業所得税額は外国税額控除額として扱われますので、手取り額は180(=譲渡益270 – 法人税120 + 外国税額控除30)となります。

・配当後持分譲渡

配当後持分譲渡する場合、その配当に対して配当源泉税10%が課税されます。その後、日本法人税法上、外国からの配当については5%のみ課税されるため、課税所得額15(={配当送金額270 + 配当源泉税30} × 5%)が計算され、40%の法人税が課税されます。その結果、手取り額は264(=配当送金額270 – 法人税額6)となります。

・結果検証

以上の結果を検証してみると、配当後持分譲渡する場合は直接持分譲渡する場合に比べ、手取り額が84(=264-180)だけ多いことが分かります。さらに、配当の源泉となる利益が2008年1月1日以前に発生した利益である場合は、中国における配当源泉税が優遇税制により免税になるため、より有効な一手となります。

 

 

以上です。

 

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