越境ECにかかる税制度のまとめ(直送モデル) Q&A

 

こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日も中国Q&Aについてお話します。

 

Q, 越境ECにかかる税制度を教えてください。

A, 越境ECにかかる税制度は、配送方法によって、課税内容が異なります。配送方法とは、大きく直送モデルと保税区モデルに分けることができます。

 

 

 

直送モデルとは、商品発送人(日本側)から商品受取人(中国側)へ直接配送するモデルを指します。一方、保税区モデルとは、商品発送人(日本側)があらかじめ中国保税区に商品をストックしておき、中国側消費者から注文があった都度、保税区から商品受取人(中国側)へ発送するというモデルを指します。保税区モデルは比較的新しいスキームであり、保税区倉庫代が発生するというデメリットがあるものの、輸送費用が安く、注文があってから中国商品受取人までの時間が短いというメリットがあり、多くのEC事業会社が利用しています。

 

まず、直送モデルにおける課税内容は、行郵税(ぎょうゆうぜい)が適用されます。行郵税とは、もともと越境EC専用に作られた税で、行李(日本語:荷物)と郵递物品进口税(日本語:郵便物輸入税)の略称です。個人向けの税であることから、課税されるべき3種類の税金(増値税・消費税・関税)が行郵税に簡便的にまとめっており、一般貿易(BtoB)の取引に比べ税率が低く設定されています。具体的な内容は下記のとおりです。

 

直送モデルにおける課税内容

①行郵税15%:食品・乳幼児用品・日用雑貨等

②行郵税30%:洋服・小物家電等

③行郵税50%:化粧品類

 

ただし、行郵税額が50元以下の場合は、行郵税は免税になります。例えば、食品であれば、333元以下の商品は、行郵税額が50元以下(333元×15%)になるため、免税になります。

 

次に、保税区モデルにおける課税内容は、一般貿易に課税される内容とほぼ同一ですが、関税率がゼロ、増値税と消費税の税率を30%減額して計算します。例えば、増値税率が17%であれば、11.9%(17%×〈1-30%〉)の増値税率になります。具体例を挙げると、3,000元の商品で増値税17%、消費税30%であれば、下記のように計算します。

 

増値税:3,000元×増値税率17%×(1-30%)=357元

消費税:3,000元×消費税率30%×(1-30%)=630元

合計:増値税357元+消費税630元=987元

 

ただし、一回当たりの購入額が2,000元を超える場合や年間の取引額が20,000元を超える場合は、上記の課税内容ではなく、一般貿易として扱われます(通常の関税・増値税・消費税課税がそのまま適用されます)。

 

 

 

越境EC税制度の図

 

 

参照:跨境电商:新税制下的新玩法

http://www.gov.cn/zhengce/2016-03/26/content_5058511.htm

 

関連記事

ページ上部へ戻る