カンボジア現地法人の資本金について

法務

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。

今回は「カンボジア現地法人の資本金について」についてお話しします。

 

 会社法においては、カンボジアにおいて法人を設立する場合の最低資本金は4,000,000リエル(約1,000米ドル:1米ドル≒4,000リエル)と規定されています。

 

 定款に特別の定めがない限り、株式は1株あたり額面4,000リエル以上で、最低1,000株を発行しなければなりません(会社法第144条)。最低額面金額以上であれば、10,000リエルや100,000リエルなど、きりの良い数値を設定するのが一般的です。

 

 最近では資金管理に関して税務局からの指摘が増加している印象があります。法人設立の際に資本金を払い込みますが、事業活動を行っていく中で資金不足となり、親会社から追加で送金を受けるケースが多くあります。

 

 支店であれば、本店と同一の会社であるため資金を自由に動かせますが、現地法人の場合は、親会社と事業体が異なるので自由には行うことができません。現地法人側では、取引の処理として、増資手続きもしくは借入契約を締結する必要があります。

 

 増資手続きは定款を変更し、商業省および税務局にて申請が必要となるため、変更完了まで数カ月の時間と手間がかかります。資本金の変更は、会社の基礎的重要事項の変更と考えらえるために、特別決議による承認が必要となります(会社法第150条)。

 

 また、借入とする場合は、借入契約書を作成し、利息の設定を行い、借り入れの日から1ヶ月以内に管轄税務局へ通知を行う必要があります。

 

こ れらの手続きを行わないと、親会社からの送金が現地法人の売上としてみなされ、申告漏れを指摘される可能性があります。また借入の場合、税務局への通知を怠ると、税務局よりみなし利率を設定され、利息に対する源泉税の申告漏れもしくは過少申告を指摘されるリスクあります。

 

 約1,000米ドルから法人を設立できますが、設立時の資本金が少なすぎることによるリスクも存在します。カンボジア進出後の日系企業の資金調達の手段としては、親会社からの増資等の出資や借入が多く、現地銀行からの借入のケースは殆どありません。そのため、事業開始後の資金不足や親会社からの送金のリスクを避けるために、法人設立時の資本金の設定を慎重に行うことが重要です。

 

今週は以上になります。

 

西山 翔太郎

 

 

 

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