
バングラデシュには、計8か所のEPZ(Export Processing Zone)があり、輸出産業の労働環境を守るために、特別にEPZ専用のBEPZA法(Guideline of EPZ)が設けられています。 BEPZA(Bangladesh Export Processing Zone Authority)法は基本的に、バングラデシュの労働法に基づいて定められているため労働法から大きく逸脱することはありませんが、労働者保護の観点からBEPZA法には、雇用主の立場から見ると厳しい規定が少なくありません。
下記、3点について紹介します。
① 正規雇用(Permanent Employee)の定義
② 年2回の賞与(Festival Bonus)
③ 出産休暇(Maternity Leave)の適応
① 正規雇用(Permanent Employee)の定義
正規雇用(Permanent Employee)か契約社員(Temporary Employee)は、従業員を雇用形態によって異なります。バングラデシュでは、Appointment Letterに雇用契約期限の記載がない場合には正規雇用(Permanent Employee)であるケースが一般的です。それに対してBEPZA法上、勤続6ヶ月を超える社員を正規雇用と見なすとされています。労働法とBEPZA法では正規雇用の定義が異なるため注意が必要です。
② 年2回のフェスティバル賞与(Festival Bonus)
バングラデシュでは、従業員に年に2回のフェスティバル賞与が与えられます。賞与の支給時期は、イード(EID)と呼ばれる長期休暇の前に支払われることとなっています。バングラデシュでは、ベンガル暦を用いるためEID休暇の日にちが毎年異なることから賞与の支払い期限については明確な記載がありません。通常の労働法では、1回の賞与額について月の基本給(Basic Salary)を超えない範囲での支給と定められているのに対して、BEPZA法上、勤続6ヶ月を超える社員を意味する正規雇用者(Permanent Employee)月の基本給(Basic Salary)と同額を支給しなければならないとされています。
③ 出産休暇(Maternity Leave)の適応
バングラデシュでは、出産休暇(Maternity Leave)が産前8週間・産後8週間認められております。(男性の育児休暇等については労働法の記載はございません)通常、勤続6カ月以上の女性に認められますが、BEPZA法上、勤続10カ月以上と定められています。さらに、EPZ内での出産休暇(Maternity Leave)は1人につき2回までと制限が設けられています。
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EPZ内 |
EPZ外 |
① 正規雇用 |
勤続6カ月以上の従業員 |
雇用形態による |
② 年2回の賞与(1回当たり) |
1か月分の基本給 |
1か月分の基本給以下 |
③ 出産休暇の取得 |
勤続10カ月以上の従業員 |
勤続6カ月以上の従業員 |
新たにバングラデシュへの投資を行う際には予め社内の労務整備等の準備をしておくことはもちろんですが、EPZ内の場合、通常と異なる規定が存在するだけでなく定義自体が異なる場合も少なくないため注意が必要です。
以上
Tokyo Consulting Firm Limited
齋藤かおり
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