バングラデシュのイード休暇について

バングラデシュでは今年最後のイード休暇が終わり、街は再び活動を始めています。例年の事ではありますが、イスラム教の最大の祝日でもあるこの時期は首都ダッカにおいても街は様変わりします。多くの企業や商店は休業に入り、バングラデシュの人々は多くが故郷の町に帰郷します。ダッカの人口が一気に減ります。

日本でも盆と正月に実家に帰省する方は多いですが、日本以上に家族とのつながりを重視するバングラデシュ人はより多くの方が当然の様に故郷の家族や親族に会いに戻ります。ダッカにおいては恒例の交通渋滞が収まり、道路わきの屋台も多くが姿を消します。レストランなどもこの期間は休業するところが少なくありません。その為、ダッカにすむ日系企業の従業員の方にとってはある意味この時期のダッカは住みにくい時期とも言えるかも知れません。実際、多くの方がこの時期を利用して日本に帰省したりタイ等へ旅行に行ったりもします。バングラデシュより格段に娯楽が多く、かつ日本の食材が手に入るタイはバングラデシュにおける日本人の最も魅力的な旅行先でもあります。

イード休暇前になると多くの物が姿を消す反面、逆に姿を現す物もあります。それがカルバニと呼ばれる生贄用の牛や羊たちです。イード休暇が近づくに従って、街では牛や羊の数が増え始めます。インドと異なり、牛の糞等の汚れは少ないと言われたバングラデシュでも、この時期のみは街角に糞がころがる様になります。これらの牛や羊はイード休暇の際に食肉として、貧しい人たちに配られます。残りは家族や親戚を招いて祝いの食事に使用されます。当然そのためには牛や羊を解体する必要が有り、手足を縛った牛の首を刃物で掻き切る光景があちこちで見られます。街の通りには流れ出た血と、それを洗い流すホースの水があふれます。日本人には馴染みの無い光景ですが、イスラム教国においてはれっきとした宗教儀式の一つと言えます。

豊かな者が貧しい者に施すのが当然とされるイスラム世界において、この時期は日本人もまた施しを行う事が暗黙の了解になります。流石に牛を解体して肉を配れとまでは言われませんが、身の回りで働いている現地の方に金銭等での施しを行うのが通例になります。金額よりはむしろ気持ちの問題でもありますので、日系企業の方々は日ごろの感謝の意味も込めてこの臨時ボーナスに応じるのが良いでしょう。

以上

バングラデシュ現地法人担当 岩波

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