こんにちは、ホーチミン事務所の嶋です。
本日はベトナムの社会保険制度について述べたいと思います。
ベトナムでは、企業が従業員のために加入する保険として社会保険、健康保険、失業保険の3種類があります。日本における年金および労災、健康保険の一部が強制加入の社会保険によってカバーされ、私傷病については健康保険の適用となります。
社会保険の強制加入の対象となるのは3か月以上の雇用契約あるいは期間の定めのない雇用契約のあるベトナム人のみです。ただし健康保険については、2009年10月1日より、ホーチミン市では3か月以上の雇用契約あるいは期間の定めのない雇用契約のある外国人にも適用されています。
雇用保険の強制加入の対象となるのは、10人以上労働者を雇用している企業で、12ヶ月以上の雇用契約あるいは期間の定めのない雇用契約のあるベトナム人が適用となります。原則として企業は労働者の負担部分を源泉徴収し、企業の負担部分と合わせて社会保険・健康保険事務所へ納付する必要があります。
社会保険は、強制加入か任意加入かで、保険の給付内容や保険料が以下のように異なります。
【強制保険】
3か月以上の雇用契約、あるいは期間の定めのない雇用契約により労働者を雇用する企業の労働者に適用され、対象はベトナム人となり、強制加入の場合には、雇用主と労働者がそれぞれ定められた保険料を負担することになります。
<給付内容>
①疾病、②妊娠・出産、③労働災害、④退職、⑤死亡
【任意保険】
3か月以下の期間の業務や季節的または、その他臨時的な業務を行う労働者を雇用する企業や労働者に適用され、対象はベトナム人で加入を希望する者のみとなります。
任意保険については、労働者が保険料の全額を負担することになります。対象は、強制社会保険対象外のベトナム人となります
①男性:15~60歳、女性:15~55歳
②15年間強制社会保険に加入してから、退職・死亡の給付をうけるために、追加5年間社会保険に加入したい60歳以上の男性、55歳以上の女性
<給付内容>
①退職、②死亡
■社会保険料
2011年現在の保険料は、雇用契約書に記載された給与およびその後辞令で定められた給与を基準として、下表の料率により算出します。
|
負担 |
~2009年 |
2010年~2011年 |
2012年~2013年 |
2014年~ |
強制保険 |
雇用主 |
15% |
16% |
17% |
18% |
労働者 |
5% |
6% |
7% |
8% |
|
※労働契約書に記載された給与等を基準に、上記料率により算出します。 |
|||||
任意保険 |
労働者 |
16% |
18% |
20% |
22% |
※労働者が選択した基準金額を基に、上記料率により算出します。 |
【健康保険】
|
ベトナム人労働者 |
外国人労働者 |
会社 |
3% |
3% |
労働者 |
1.5% |
1.5% |
|
ベトナム人労働者 |
会社 |
1% |
労働者 |
1% |
高額所得の労働者に対する保険料の負担増を考慮し、保険料の算定には上限が定められています。最低賃金(2013年7月1日施行のベトナム公務員の最低賃金1,150,000ドン)の20倍をベースに保険料率を掛けて算出します。例えば、社会保険の上限は、会社負担1,150,000×20×17%=3,910,000ベトナムドン、従業員負担1,150,000×20×7%=1,610,000ベトナムドンとなります。
負担料率は、上記の表のとおり、2010年以降、1%ずつ引き上げられています。