皆さん、こんにちは。
ベトナム、ホーチミンの川村 拓己です。
Q: ベトナム会計基準の特徴を教えてください。
A: 2015年に制定された会計法により、ベトナムで事業を行う法人は、ベトナム会計基準に従わなければなりません。
現在は26の会計基準から構成されており、特徴的な会計処理は次の通りです。
Ø 土地
ベトナムでは、土地は国有のものととらえられており、土地の使用権を得た場合でも、長期前払費用として計上した上で、最大50年間にわたり、費用化することになります。
工業団地の日系企業の場合は、ベトナム政府が土地の使用を許可した工業団地の管理会社からサブリースという形で使用しています。そのため、支払った金額は、リース料の前払いとして処理されることとなります。
ただし、土地のリース契約が2003年より前の場合は、「無形固定資産」として計上されているため注意が必要となります。親会社が連結財務諸表を作成している場合には、連結財務諸表上、当該土地の前払いリース料の表示科目を、グループの方針に沿って組み替える必要があります。
Ø 為替差損益
為替差損益は、通常発生した期において損益処理をしなければなりません。しかし、工事建設に関する債権債務から生じる為替差額であって、営業開始前に発生した為替差損益については、貨借対照表の純資産の部に計上し、営業を開始した時点から最大で5年間で償却することができます。
Ø 外貨建て取引の為替換算
会計上、期中及び期末日に外貨換算が必要になります。
期中においては、
外貨建て債権が発生する取引の場合→顧客から代金を受領する商業銀行の買取レート
外貨建て債務が発生する取引の場合→代金を支払う商業銀行の販売レート
になります。
また、未払勘定を経由せず、外貨で直接資産を購入または費用を支払う場合には、支払いを行う商業銀行の買取レートを用いて、外貨換算を行うことになります。
期中においては例外的に、財務諸表に重要な影響を与えないことを条件として、平均値等の「近似レート」の使用が認められています。
(近似レート:日次、週次または月次の実際の平均レートとの乖離が、±1%以内)
期末日においては、
資産→通常取引を行う商業銀行の買取レート
負債→同銀行の販売レート
を使用して外貨換算を行います。
期中において近似レートを使用した場合には、期末日の換算替えに使用するレートは買取レート、販売レート、平均レートから一つを選択して適用することになります。
Ø 創立費、開業費
投資許可の取得時点までに発生した費用を創立費といいます。原則として発生時の費用とされますが、5年間の償却処理をすることが認められます。
また投資許可を取得した後、営業を開始するまでに発生した費用を開業費といい、原則として発生時の費用としますが、3年にわたり、繰延償却することができます。進出直後に利益が見込めない場合は、繰延償却処理を選択することで、売り上げと対応させることができます。
より詳しい内容に関しましては、弊社のWiki Investmentや「ベトナムの投資・M&A・会社法・会計税務・労務(久野康成)」を参照していただければと思います。
下記、Wiki InvestmentのURLになります。
http://www.wiki-investment.com/
東京コンサルティングファーム
ベトナム ホーチミン
川村 拓己
Mail: kawamura.hiroki@tokyoconsultinggroup.com