ベトナム個人所得税について④

税務

ホーチミン駐在員の嶋です。前回に引き続き、個人所得税について、ケーススタディで考えていきたいと思います。

【Q】
私は、2011年1月1日より、100日間滞在します。この場合は、183日以下の滞在になり、非居住者になりますので、全世界所得が課税対象にはならないという認識でよろしいでしょうか?滞在時は、レンタルオフィスを100日間、借りる契約を結んでいます。なお、日本に住所があり、日本の居住者となっています。

【A】
本ケースの場合、レンタルオフィスを借りる契約をしており、ベトナムの居住者に該当します。居住者の定義として、①183日以上の滞在、②定常的な住所を有する、③90日以上の居所を有する、の三つがあり、一つでも該当すると居住者の定義となります。本件の場合は、③の居所を有するに該当します。ここでいう居所とは、ホテル、事務所、作業場を含み、契約の名義が個人であるか法人であるかを問いません。

よって、あなたの場合は、日本、ベトナムの両国で課税が発生します。このような二重課税になる場合は、日越租税条約に従って、判断する必要があります。前々回のブログでも述べましたが、日越租税条約第4条第2項では、どちらの国の居住者に該当するかを下記の順序で決めることができます。

①恒久的住居が所在する締約国2の居住者とみなす。恒久的住居が双方の締約国内に存在する場合には、人的及び経済的関係がより密接な締約国(重要な利害関係の中心がある国)の居住者とみなす。

② 重要な利害関係の中心がある締約国を決定することができない場合又は使用する恒久的住居をいずれの締約国内にも有しない場合には、常用の住居が所在する締約国の居住者とみなす。

③ 常用の住居を双方の締約国内に有する場合又はいずれの締約国内にも有しない場合には、国籍を有する締約国の居住者とみなす。

④ 双方の締約国の国民である場合又はいずれの締約国の国民でもない場合には、両締約国の権限のある当局は、合意により本件を解決する。

さらに日本で居住者と認められるためには、日本の税務当局から発行される居住証明書をベトナム税務当局に提出し、ベトナム居住者でないことを説明する必要があります。

このような日越をまたいだ税金のことは、親会社も把握していないことが多く、駐在員の方々が自ら調べた上で、対応することが求められます。

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