こんにちは、ベトナムのハノイ駐在員の浅野です。
今回のベトナム駐在員の給与額を決定する際に用いられるグロスアップ計算についてご紹介致します。
まず、グロスアップ計算について簡単に説明します。
ベトナムの個人所得税の計算は、累進課税となっています。税率は、5%から35%です。下記にベトナムの年次個人所得税税率表を載せましたが、一般的な日本駐在員の給与水準だと、課税所得額がすぐに最高税率の35%に達してしまいます。それにより、仮に日本で同水準の給与を受ける場合よりも個人所得税の納付額が大きくなります。
<年次個人所得税率表>
そこで、多くの企業では、駐在員の個人所得税の負担を軽くするために個人所得税の全部または一部を企業が負担します。そこで、グロスアップ計算が必要になります。
グロスアップ計算の基本的な考え方は、まず、駐在員の税引後の手取補償額を決めます。そして、そこから課税所得額を逆算し、どの程度の課税所得額にすれば、設定した駐在員の手取額を補償することができるかを計算します。
下記に及びグロスアップ計算をしなかった場合の手取給与の計算例及びグロスアップ計算例を載せます。
まず、グロスアップ計算をしなかった場合は、個人所得税の額が229,000千ドンで手取額が811,000千ドンとなります。手取り補償額910,000千ドン、3,500,000円が仮に日本側で働いた場合の手取額とすると、比較しても、99,000千ドン手取額が少なくなっています。
そこで、日本と同水準の支給額、この場合は、910,000千ドン、3,500,000円を補償するために、下記のグロスアップ計算を行います。考え方としては、企業から、手当を支給し、総所得額を増やすことにより、手取額を増やし、設定した手取額を補償します。基本的に企業が駐在員の個人所得税を負担すると負担した額は、駐在員に対するベネフィットとみなされます。そこで、企業から手当を支給し、個人所得税の額も増えますが、相対して、手取額を増やす方法が一般的となります。計算の結果、企業から、手当として152,307千ドン、586,000円支給することにより、910,000千ドンの手取額が補償できることになります。