こんにちは。東京コンサルティンググループトルコ支社の吉田瞬です。
前回は今年5月中旬に発表された対米報復関税の引き下げ措置についてお話させていただきました。
今週・来週の2週は、トルコにおいて急増する仮想通貨取引をテーマに情報を発信させていただきたいと思います。
日本の仮想通貨事情
仮想通貨は、日本国内においても数年前よりその存在が周知され始め、現在では日常的にニュースにも取り上げられ、動向が大いに注目されています。加速する仮想通貨ブームの動きに対応すべく、日本政府は商品券や電子マネーに関する規制を定めた従来の「賃金決済法」を改正し、仮想通貨に関する規制を盛り込んだ「改正賃金決済法」が2017年4月より施行されました。比較的早い段階で仮想通貨に関する法整備が行われた日本ですが、仮想通貨の普及率自体はそれほど高くないのが現状です。
トルコの仮想通貨普及率
一方驚くべきことに、トルコにおける仮想通貨の保有率は世界でも群を抜いています。参考資料にあるドイツの統計企業statistaが昨年2018年8月に発表した調査結果によると、調査対象国15カ国のうち、トルコは18%という最も高い仮想通貨保有率を記録しています。単純計算で、国民の5人に1人が仮想通貨を保有していることになります。その主な理由としては政情不安と法定通貨トルコリラの暴落による金融不安が考えられます。2013年の大規模な反政府デモ、2016年のクーデター未遂事件の発生により、トルコ国民の政府への信用は大幅に低下しました。最近では、トルコ当局によるロシアのS-400ミサイル防衛システム購入を巡り、アメリカとの更なる関係悪化が懸念されています。トルコリラも政情不安の煽りを受け、引き続き不安定な状態が続いています。結果として、不安定な法定通貨より仮想通貨を保有する方が安全であると判断し、仮想通貨を資産として保有する人々が増加していると考えられます。
日本において仮想通貨は投資手法の1つとして活用されている場合が多いですが、トルコを含む発展途上国においては不安定な自国の法定通貨に代替する資産保有手段としても利用されています。加えて、法定通貨と比較して送金コストが抑えられる点もメリットとして挙げられます。
上記の理由からトルコ国内では、特定の国に依存しない仮想通貨に対する需要が非常に高まっています。政府や中央銀行も仮想通貨の価値を認めていることから、今後は個人取引だけではなく、ビジネスシーンにおいても不安定な法定通貨ではなく、仮想通貨が活用されていくことも期待されています。
次回のブログでは、法整備や今後の展望といった見地から、引き続きトルコの仮想通貨取引事情についてお話させていただきます。
今週は以上となります。
上記の内容以外にご質問等ございましたら、無料相談も行なっておりますので、是非お気軽にオフィスにお越しください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
東京コンサルティングファーム・トルコ拠点
吉田瞬
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