トルコの税金(間接税(Indirect Tax))

みなさん、こんにちは。トルコ駐在員の田中です。
今年も、あと残すところ1か月となりました。トルコでは本格的なクリスマスシーズンを迎えており、街もだいぶ賑わってきています。

現在、日本では12月16日投開票の衆議院議員総選挙に向け、白熱した討論、マニフェストの開示などが行われていますが、ホットな話題の1つとして、「消費税の増税」が挙げられます。
今後の増税予定として、現行5%の消費税は2014年に8%、15年には10%に引き上げられることが発表されており、公明党は衆院選のマニフェストに、消費税率を2014年4月に8%に引き上げた際、食品などの生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入を掲げました。日本にとってこの問題は大きく、増税前に家や車など、金額の大きな買い物についての駆け込み需要も増加するものと見込まれています。
そんな中、私が海外にいて常々感じることは、やはり「日本以外の消費税(付加価値税)の税率は高い」ということです。以前、赴任していたインドでも同じことを感じましたが、普段の生活においてレストランなどで飲食等した際、気づいたら4分の1、3分の1がVATだった、ということが多々ありました。

今回のブログでは、トルコの税制(主に間接税)について書きたいと思います。
トルコの税制においては、次のような種類の税目が定められています。

<トルコの税金の種類>
●直接税
所得税 ― 法人所得税(Business Income Tax)
― 個人所得税(Personal Income Tax)
●間接税
― 付加価値税(Value Added Tax)
― 特別消費税(Special Consumption Tax)
― 銀行及び保険取引税(Banking and Insurance Transaction Tax)
― 印紙税(Stamp Duty)
― 相続と贈与税(Inheritance and Gift Tax)
― 環境税(Environment Tax)

以下、主要な間接税について簡単に解説をしていきます。

<付加価値税:VAT(Value Added Tax)>
「物品の売買」や「サービスの提供」を行った際に、VATが課税されます。日本でいう「消費税」と同じような性質の税金です。
トルコの場合、VATの標準税率は18%と規定されています。しかし例外として、一部の食品や医薬品、書籍、私立学校による教育等のサービスでは8%、新聞書籍や一定の農産物、大部分のリース取引では1%の軽減税率が定められています。海外のVAT税率は標準税率が高い分、このように一定の物品について軽減税率が定められています。
また、金融取引等の特定の取引はVATの非課税とされていますが、トルコではEUのようにリバースチャージ方式(※)が採用されており、非居住者に対する専門的業務の提供や無形資産の利用対価等(ロイヤルティ、ライセンス料、知的財産等)に適用され、標準税率と同じく18%が課せられます。また、トルコに設立登記をしておらず、トルコ国内で製品を販売する外国企業は、直接的な税務登録が不可能なため、VATを申告するためリバースチャージ方式を採用する必要があります。
※VATの納税義務を、売り手又はサービス提供者(外国の事業者)ではなく買い手又はサービス受益者(自国の事業者)に課す方法。

VATの申告は、各月に発生したVATに対して、申告対象となる月の翌月24日までとされており、納付期限は申告対象月の翌月26日までと定められています(VATの申告・納付期限は源泉税の申告・納付期限と同じになっています)。

<特別消費税:SCT(Special Consumption Tax)>
トルコの税制では、VATと別にSCT(Special Consumption Tax)と呼ばれる特別消費税が特定の物品に対して課税されます。VATは物品の販売時にかかる税金ですが、SCTは物品の出荷時に課税され、消費者への販売価格に含まれる形になります。つまり、消費者が特別消費税の課税対象となる物品を購入する場合、購入価格は

本体価格+VAT+SCT

となります。
SCTの対象物品は、大きく以下の4つのグループに分かれます。

(1)石油製品、天然ガス、潤滑油などの副産物
(2)自動車とその他の車両、オートバイ、飛行機、ヘリコプター、ヨット
(3)たばこ、アルコール飲料
(4)ぜいたく品(香水、化粧品、毛皮、デジタルカメラ、携帯電話など)

<相続及び贈与税:Inheritance and Gift Tax>
相続又は贈与により取得した財産等について、その財産等の評価額の1%~30%の間で課税されます。

<印紙税:Stamp Duty>
印紙税は一定の文書に対して課税され、基準税率は0.825%となっており、その他文書の種類に応じた税率が定められています。

<不動産税:Real Estate Taxes>
不動産税は土地や建物の評価額に基づいて課税され、税率は以下の通りになっております。
・一般的な建物(ビル):0.2%
・住宅:0.1%
・一般的な土地:0.1%
・建築敷地:0.3%
また、大都市内の建物や土地については、上記の税率の2倍が課税されます。

その他、トルコには資産税や環境税、銀行及び保険取引税など多くの間接税があり、ビジネスや生活をしていく上で、最低限関わってくる税金については知識を持っておく必要があると思われます。また、ここ数年の間に増税が行われ、基本税率が都度変更されているため、今後の法改正にも気を配っていく必要があります。

トルコにおける税務・会計・労務につきまして、少しでも疑問やご質問等がございましたら、遠慮なくこちらまでご連絡下さい。

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