企業買収後の諸課題 |フィリピン進出コンサルティング
企業買収後の諸課題
出口戦略(エグジット・ストラテジー)
外国会社がフィリピン内国会社に対して行った投資から完全に撤退する場合の具体的な出口戦略としては、株式の売却、会社の清算、事業譲渡等による事業の売却があります。
■株式の売却・譲渡
- [非居住者からフィリピン居住者への株式の譲渡]
- 非居住者がフィリピン居住者に株式を譲渡する場合は、フィリピンの証券取引委員会(SEC)のガイドラインに従って行われる株式の第三者割当価格を上回らない価格となります。
- [外国会社(フィリピン非居住者)からフィリピン非居住者への株式の譲渡]
- 外国会社(フィリピン非居住者)からフィリピン非居住者への株式売買については、具体的なガイドラインはなく、特段の規制はありません。たとえば、日本の居住者同士で株式を譲渡する際、特段の規制はありません。
所得税法上、株式譲渡により取得した対価が株式の取得原価を上回る場合には、株式の譲渡会社にキャピタル・ゲイン課税が発生します。この場合、株式の譲受会社はこれを源泉徴収しなければなりません。また、証券取引所を通じて上場企業の株式を売却する場合には証券取引税が課されます。
■会社の清算
会社の清算とは、会社の資産負債を清算し、法人格を消滅させる手続です(会社法14条)。手続の概要は、以下のとおりです。
- 会社清算決議の実施(取締役会の過半数、株主総会の3分の2以上の賛成による決議)
- 新聞での公告(週1回の掲載を3週間連続して)
- 清算日の確定
- 清算監査(会社の清算日における財務諸表を作成しフィリピン国税局に届出)
- 納税者識別番号(TIN番号)の抹消をフィリピン国税局に申請
- 過去3年間の税務監査
- 税務クリアランス(TaxClearance)の発行
- SEC用最終財務諸表の作成(⑨のSEC申請時は、提出日から起算して60日前までに作成された財務諸表を添付)
- SECへの法人登記抹消申請
■事業譲渡等による事業の売却
事業譲渡や合併によって、投資先のフィリピン内国会社の事業を他社に売却するという方法も選択できます。ただし、事業譲渡の場合は売却した事業の対価が出資先のフィリピン内国会社に支払われるので、結局この資金を外国会社株主が回収するためには、当該フィリピン内国会社を清算するなど、さらに手続が必要となります。
また、合併の場合にも合併の対価が株式の場合は、合併存続会社の株式が割当てられるので、これを処分するための手続が必要です。
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