雇用条件の規制を見れば、雇用者側に有利な条件が多いと言われるシンガポールですが、雇用法(Employment Act)には詳細なルールが定められています。
休日・祝日に関することで、従業員から思わぬ請求をされるケースは後を絶ちません。
残業代のルールと併せて、休日・祝日の規定を確認しておきましょう。
まず、大原則として、シンガポール雇用法の適用範囲を確認しましょう。
1.雇用契約を締結する従業員はシンガポール人、外国人を問わず原則全員適用
2.月収4,500 SGD超の管理職等、船員、家事労働者、公務員は適用除外
※注1:月収4,500 SGD超の管理職等については、個別の雇用契約に条件を明示します。
※注2:時期法改正(2019年4月までに施行)では、管理職等も全員適用となる予定です。
次に、労働時間、残業、休日などの条件を規定する、第4部(Part 4)の適用範囲を見ていきましょう。
1.月収4,500 SGD以下の肉体労働者(workmen)
2.月収2,500 SGD以下の非肉体労働者(non-workmen)
※注1:非肉体労働者の月収については、次期法改正により2,600 SGD以下へ変更される予定です。
雇用法第4部が適用となる従業員に対しては、以下の条件が設けられています。
- 7日以上の年休を与える(annual leave)
- 病欠に際しては14日の有給休暇を与える(paid sick leave)
- 入院に際しては60日の有給休暇を与える(paid hospitalisation leave)
- 産休を与える(maternity leave and childcare leave、休暇中の給与は国が負担)
- 年間11日の祝日を確保する(public holidays)
上記の中、「年間11日の祝日」をどのように「確保」するべきなのか、詳細を見ていきます。
しかしその前に、日本では馴染みのない、休息日(rest day)と非勤務日(non-working day)の概念を理解しましょう。
- 休息日:従業員規則や雇用契約で個別に規定が可能な、週1日の無給の休日(多くは日曜)
- 非勤務日:週休二日制等の場合、無給の休日の中、休息日でない日(多くは土曜)
まず、シンガポールの祝日は、有給休暇として扱い、各種手当を含まない基本給を日割りで計算した金額(gross rate of pay)を支払う必要があります。
その上で、もともと休日である日の場合の規定があります。
1.祝日が休息日に当たる場合、翌日は有給休暇とする(gross rate of pay)
2.祝日が非勤務日に当たる場合、月給から控除しない形で任意の一日を休日とするか、一日分の給与を払う(gross rate of pay)かを選択する
更に、上記1.の祝日の翌日を有給休暇とする場合を含め、本来有給休暇である祝日に勤務する場合には、さらに翌日を有給休暇とするか、通常の給与に加えてgross rate of pay分の給与を支払うか、どちらかの対応をする必要があります。
シンガポールは色々に異なる人種、宗教、風習を持った移民社会で、公平を保つために複雑化した休日体系と言えます。
注意をしていきましょう。
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