【もう小切手は古い!】シンガポール企業を席捲!PayNow!!

投資環境・経済

コロナウイルスの影響は、シンガポールの経済にも深刻な影響を与えています。

政府は少しでも企業負担を軽減すべく、様々な支援体制を構築、国家予算を活用して失業率の悪化を防ごうとしています。

そんな中、導入する企業が急増しているサービスがあります:PayNow(ペイ・ナウ)です。

今回は、シンガポールでまだ知らない人も多い(?)支払い方法のあれこれをおさらいしながら、PayNowの魅力についてお伝えします。

シンガポールの法人銀行口座の支払い方法

銀行業が発達しているシンガポール、地場の銀行ではDBS、UOB、OCBCが有名ですが、世界のメガバンクが終結していると言っても過言ではありません。

オンラインバンキングやスマートフォンによる決済サービスは当たり前、老若男女問わずスマートフォンで決裁を行う割合を見たら、日本より断然デジタル化が進んでいます。

そのシンガポールで法人口座を持ったら、支払い方法として挙げられるのは以下の7つです:

  1. 小切手(Cheque)
    金額とサインで現金に化ける紙切れのあれ。ちょっと日本では見慣れない小切手ですが、まだシンガポールでは普通に生き残っています。
  2. クレジットカード/デビットカード
    企業もカードを発行すれば、端末のあるお店で支払いは完了します。デポジットがやや高いので要注意です。
  3. GIRO
    自動振り込み(Auto-GIRO)と毎回手続きする支払い(GIRO Payment)がありますが、ここでは後者を扱います。申し込みから1~2日以内に実行される、一番一般的な支払方法です。
  4. FAST
    シンガポールドルであれば、24時間、土日祝日関係なしで、即刻着金してしまう便利サービスです。
  5. Bill Payment
    水道料金、法人税など、政府系機関や水道光熱費などの支払いで使用される専用支払い方法です。料金通知等に書かれた番号で支払いを完了させます。
  6. MEPS
    シンガポールドルでのみ、国内送金を可能にするサービスです。
  7. Account Transfer
    国外送金に一般に用いられるサービスです。

以上のうち、口座番号を入力しなくてもいいのが1.の小切手で、振込先の個人名/法人名を書くだけで送ることができて、とても便利だということから今でも使われています。

また、上記の通り、5.のBill Paymentは指定された番号を入力して支払うサービスで、政府サービスであれば手数料がかからない点が魅力です。

その他の支払い方法、送金方法は全て相手方の銀行口座番号が必要で、手数料がかかります。
※小切手も小切手帳発行料がかかったり、郵送に切手代がかかったりするので、実質的には手数料がかかってしまいます。

PayNowとは?

2018年4月から、シンガポール政府機関からも強く期待されつつ導入された新サービスがPayNowです。

上記の支払い方法に必要だった会社名や長くなりがちな認証番号、相手先の口座番号等は一切必要なく、携帯電話番号かNRIC(シンガポール国籍/永住権保持者に付与される身分証)番号だけで、即座に送金が完了する便利なサービスです。

法人に送金する場合は、送金先の法人番号UENを入力することになりますが、いずれにしてもPayNowによって、インターネットで簡単に調べられる情報だけで送金ができるようになりました。

更に、PayNowはQRコードの技術を利用したPayNow QRも導入しており、インボイスにQRコードを張り付けて送る企業も増えてきています。

金額制限は?手数料は?

企業のPayNowによる送金は、実質的には企業のUENと紐づいた特定の口座に送金されるもので、送金先の銀行口座情報入力を省略してGIROまたはFASTで支払いを行うものです。

送金金額の制限としては、それぞれGIROは制限なし、FASTはS$200,000までの送金が可能です。

手数料については、2019年末までは導入の時期として各銀行ともほとんど無料にしていましたが、2020年からは送金にGIROが一回S$0.20~S$0.40、FASTが一回S$0.50~S$0.70の手数料がかけられています。

※地場のメガバンク3行以外は一回S$1.00のところも多く見られます。

また、PayNowは受け取り手にも手数料がかかるのが特徴で、2020年からは、概ね一回S$0.20の手数料がかけられています。

どうすればPayNowが使える?

シンガポール地場のメガバンク3銀行、Maybank、Citibank、Standard Chartered、HSBC、Bank of Chinaの合計8銀行は、オンラインバンキングを利用している企業であればすでにPaymentの選択肢の一つにPayNowが追加されているのが見えるはずです。

こちらで送金先の企業のUENを入力、個人の場合はNRICか携帯電話番号を入力して送金を行うことができます。

一方、送金を受ける側は手続きが必要です。

オンラインバンキングやメールの案内をクリックして、手数料(S$10~S$20)について了承するボタンを押せば手続きが完了します。
※上記説明の通り、実質的には自社のUENを法人口座番号と紐づける取り組みであるため、支払いを受けたいメインの口座だけを登録することになる点、注意が必要です。

その後、インボイスやメールで自社がPayNowでの支払いが可能であることを明言し、必要情報であるUENが分かるように記載すれば、送金元がPayNowを選択する可能性は高いです。

どうして今、急増している?

冒頭に記載した通り、シンガポール政府は企業の支援を大々的に打ち出しています。

2020年4月のForeign Worker Levy(FWL)の還付について、PayNowアカウントがある企業には4月21日に、それ以外は5月に支給すると発表したことで、多くの企業がPayNowアカウントを開設、一気に登録者が増加した格好になりました。

シンガポール銀行協会(ABS)は、2023までには小切手による支払いの風習が廃止されることを希望しており、今回の対応で俄かに目標達成の機運が高まった形です。

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