シンガポールのライセンス!~MAS編1「決済」

法務

シンガポールは国際的ビジネスハブとなることを志し、世界的に見てもビジネスのしやすい環境を整えてきました。

諸国に見る規制業種、ネガティブリストというものもごく一部に限られ、国内外の企業にほとんどの業種が解放されていると言っても過言ではありません。

そんなシンガポールでは、ある程度ガイドラインが必要な特定業種に関して、ライセンスの取得を義務付けることでコンプライアンスを守らせ、安全で秩序ある社会の形成を志向しています。

今回は、そんなシンガポールのライセンスの中から、シンガポール通貨金融庁(MAS)に関わる規制を見ていきます。

MASの管理対象は?

シンガポールの中央銀行でもあるMAS、その管轄は、以下のセクターに分かれています:

  • 銀行業(Banking)
  • 資本市場(Capital Market)
  • 保険(Insurance)
  • 決済(Payment)

近年では上記4セクターが複合的に関わってくる仮想通貨(Cryptocurrency)などもMASの管理対象とされていますが、ライセンスはセクターごとに基盤となる法律が制定され、これに基づいて運営されています。

決済の仕組みは?

以下、MASの規制を決済サービスに絞ってみていきます。

そもそも、決済サービスは以下の7つのサービスに細分されます

  1. アカウント開設サービス
  2. 国内送金サービス
  3. 国際送金サービス
  4. 商店支払い管理サービス(POSの管理・運営等)
  5. 電子マネー取扱いサービス
  6. 電子通貨(=仮想通貨)売買サービス
  7. 外国通貨売買サービス

それぞれが組み合わさって、一般庶民が店舗などで行う電子マネーでの支払い等が可能になっていると考えることができます。

実際、決済サービスの規制は?

決済サービスに対するMASのライセンス自体は、上記サービスの項目一つ一つではなく、その組み合わせで何をするかによって、以下3つに大分されています:

  • 両替サービスを提供するか
    ⇒ YesならMoney Changing Licenceが必要
  • 大規模にサービスを提供するか
    ⇒ YesならMajor Payment Institution Licenceが必要
    ⇒ NoならStandard Payment Institution Licenceが必要

それぞれ、申請にS$500~S$1,500までの費用が発生するこうしたライセンスは、主に企業がシンガポールで決済サービスを行うだけの資金力や経験、ノウハウを有していることが条件となります。

同様に、その資金力を保証するためのデポジットも徴収され、決済サービス法(Payment Services Act 2019)のコンプライアンスに応えていることが条件となっています。

参考:ガイドライン:
https://www.mas.gov.sg/-/media/MAS/Sectors/Guidance/Guidelines-on-Licensing-for-Payment-Service-Providers.pdf

ライセンスの他にも条件がある?

全ての要求を満たしたうえで、MASから認可を受けてシンガポールで決済サービスを開始する際には、上記A.~G.うち、サービスを提供する内容に関して、毎年ライセンス料(概ねS$10,000)をMASに納付します。

一旦ライセンスを取得してしまえば、自らライセンスをコンプライアンスに違反しない限り、企業がMASにライセンスを取り上げられることはありませんが、そのライセンス料とコンプライアンス自体、相当にハードルの高いものである点は、理解していることが必要です。

直接当局に声掛けすることになる大きな事業ですが、シンガポールに根を張って活動するのであれば、MASから認可されることが不可能なライセンスではないということを覚えておきましょう。

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