原本じゃないとダメ?シンガポールの書類事情!

シンガポールの書類事情~ペーパーレスと書類観慣行主義~

ペーパーレスの時代の波は確実にシンガポールにも押し寄せており、政府関連の書類で求められる資料も、徐々にスキャンコピー(Soft Copy)に変わっていっています。

しかし、一方ではまだまだ根強く残る書類主義的慣行があり、「原本(Original)」や「プリントアウト後の署名済み書面(Hard Copy)」の提出が求められる手続きは非常に多いです。

今回は、もしかしたらあまり知られていない、シンガポールの「ペーパーレス化」事情をお伝えします。

 

 

ビザの申請は書類いらず!

通常、どこの国でもビザを入手するのは大変で、たくさん書類を抱えて大使館に行ったりするものですが、シンガポールでは国内で身体情報(Biometric Data)を登録する必要があることを除いて、ほぼペーパーレスです。

就労ビザ(EP)はEP onlineというサイトでオンライン申請となり、パスポートと学歴証明書のスキャン画像を添付する必要がありますが、原本は必要ありません。

ただし、身体認証の際には学歴証明書の原本、または鮮明なハードコピーを持ってくるように言われるケースがあるため、注意が必要です。

一方、観光ビザ(STVP)は現在、シンガポールへ向かう航空機内などで配布される入国カード(Disembarkation/Embarkation Card)に記載された情報に基づいて発行されていますが、ビザ自体は実体がありません。

この入国カードもペーパーレス化が検討されています。
具体的には、スマートフォンアプリなどで入国カードに記載する情報を入力し、簡単なID番号が発行される仕組みですが、こちらが現在試験導入中。
出国前に記入できる点、グループ単位で入力できる点などに期待が寄せられています。

 

会社と銀行関連の書類はまだまだ大変

シンガポールでの会社の設立・登記と銀行口座開設の際には、まだまだ山のように書類の提出が求められます。

ほとんどすべての会社で、登記関連の書類は会社秘書役へ提出することになりますが、そこでの書類の管理は原則すべて原本です。

登記情報が記載される取締役と、最低1名は求められる個人の代表株主についてのパスポートコピーと住所証明、また法人株主の場合の登記簿謄本や株主名簿などは、どうしても紙媒体で原本の提出が必要になります。

ただし、年次株主総会(AGM)に関しては、昨年シンガポール会社法に以下のようなルール変更がありました。

「株主が一致して取締役会決議に同意すれば、AGMを省略することができる。」
これは、これまでのように、書類の上だけでもAGMが開催された形式にするため、AGM議事録に代表株主の署名を行うよう義務付けられていた点、取締役会の決議書をメールで回覧し、署名を取り付けてスキャンコピーを提出すれば、それでAGMに代えることができるというものです。

 

監査の書類もまだ大変

シンガポール会社法に則り、年次で提出が求められる財務報告書の監査の際には、非常に多くの書類が必要になります。
監査報告書にさしはさむページはもちろん、その他の確認書類もその多くが代表者の署名を必要とし、原本の提出が求められます。

ただし、買掛金、売掛金の確認書類や関係者間取引確認書類については、最終確認者から監査人あてに直接メール送信されれば、原本の提出は必要でなくなるケースがほとんどです。

 

税務申告はほぼ書類いらず

シンガポールの税務署である国内歳入局(IRAS)は、早くからペーパーレス化を進めており、オンラインで申告できるMyTax Portalが幅広く利用されています。

会社側で申告するもの、個人が申告するもの、代行業者が申告するものと、みっつのメニューに分けてログインできるようになっており、それぞれが個人ないし会社のログインIDを持ってワンタイム認証を行えば、オンラインで申請できることになっています。

ただし、企業が従業員に対して配布するIR8A、IR21などの書類は、原則的にプリントアウトされ、代表者が署名したものを手渡しすることが必要なので、注意が必要です。

 

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