出生率が世界でもトッププラスに低い国、シンガポール(202国中ワースト5位)では、当然に自国民の結婚・出産を応援する制度を備えています。
しかし、そのシンガポール人の結婚相手が外国人となると、国も頭を悩ませます。
今回は、シンガポールがそんな外国人をどこまで認めるか、就労ビザと権利の事情を詳しくお伝えします。
そもそも結婚できない人がいる?
外国人がシンガポールに滞在するのは、旅行の場合やもともと親類がシンガポール人であるような場合を除いて、基本的に仕事のためです。
EP、S-Pass、Work Permitなどのいわゆる就労ビザを発行されて滞在するわけですが、実はこのうち前者2種と後者のWork Permitとでは、かなり大きな違いがあります。
例えば、EP、S-Pass保持者は、一定の金額の収入があれば(月給S$6,000超えなど)、自分の扶養者を母国から連れてきて、一緒に生活することが許されますが、Work Permitで働く外国人には、原則としてこの自由は与えられません。
また、シンガポール永住権であるPRを申請する権利も、Work Permitで働く外国人にはありません。
同様に、EPとS-Passの保持者である外国人にのみ許されるのが、シンガポール人との結婚です。
シンガポール人、永住権保持者、その他の外国人のいずれとも結婚することができ、収入がS$6,000を超えていて十分に家族を養うことができるとみなされた場合は、子供を妊娠し、国内で出産、その後子育てを始めることもできます。
逆に言うと、Work Permitで就労している外国人は、子供を身ごもって出産することが許されません。
外国人同士で結婚することだけは自由にできるのですが、その子供を妊娠した場合には就労をストップして国に帰る必要があり、一方シンガポール人(または永住権保持者)と結婚する場合には役所に申請して許可をもらわなければなりません。
シンガポール人と結婚したらどうなるの?
意外と誤解されている点ですが、シンガポール人と結婚しても、それで直ちにシンガポールでの滞在資格が付与されるわけではありません。
EPなどの就労ビザで滞在している場合は問題ありませんが、観光ビザ(STVP)で入って結婚手続きだけ、という場合には注意が必要です。
それというのも、結婚後にシンガポール人の配偶者としての滞在資格、LTVPを申請すると、半年以上審査に時間がかかる場合もあるからです。
このLTVPを申請・取得するうえで、最も正しい手順は、結婚する前に結婚前LTVP審査を行い、早い段階でLLE(Letter of LTVP Eligibility)を取得しておくことだといわれています。
その後、結婚の手続きをして、再度LTVPに申し込めば、すぐにビザが発行されます。
外国人同士の結婚では何に注意する?
最後に、どちらもシンガポール国籍/永住権保持者でない2名が結婚する場合の注意点を見せおきましょう。
まず、両社ともEPなどで仕事をしている場合は問題ありませんが、片方がEPで配偶者のビザがない場合、結婚してから配偶者が滞在できる唯一の形態はDPの取得になります。
この場合、EP保持者の所得は月給S$6,000以上でなければならず、DPも会社側の申請となるため、社内で話を通し、かつ現地日本大使館で戸籍謄本を提出の上、婚姻証明書を発行するなど、ある程度の手間が生じます。
そのうえで、当局の判断を待ってDP発行に至ります。
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