外国人がシンガポールで働く場合、就労ビザに当たるWork Passを取得しなければなりません。
EP、S-Pass、Work Permitなど、こうしたWork Passは雇用者である会社が申請、発行を依頼する必要がありますが、それがあったらシンガポールでどこまで仕事をしていいのか、Work Pass本体には書いてないので、知らない人もいることでしょう。
今回は、そんなWork Passによる外国人の就労事情をお伝えします。
兼業は許されない?1社のみの原則
まず、大原則として、Work Passを申請、発行する会社でしか、従業員が働くことは許されません。
すべてのWork Passは一人に対して一つしか発行されることはなく、その番号は個人のID、税番として用いられる一方で、発行申請者である会社と紐づいています。
現行の制度では、外国人は永住権PR(Permanent Resident)を取得しない限り、原則1社でしか働くことはできません。
EP保持者の特権?例外的対応とは!
と、上で「原則」と述べたのは訳があります。
実は、ほかのWork Passと比べ、特にマネジメント、専門家としての能力に特化した人材に付与されるEPの保持者については、いくつかの特権的例外が設けられています。
以下、EPに絞って例外的対応をまとめます。
法人株主は?全く制限なし!
EP保持者としてシンガポールに在住している外国人は、他の会社、自分の会社の株式を所有することができます。
また、現在の会社で働きながら、自らシンガポールに別の法人を設立してその株主となることもできます。
取締役は?キーワードはLOC!
株主になる権利があると、EP保持者はほとんど何も制限が内容にも思えますが、実は、EPを発行した現在の会社以外で取締役(Director)になるには、一定の条件があります。
まず、原則として、現在の会社の関連会社でしか、取締役に就任することは許されません。
これは、直接の子会社以外に、親会社が同じである、同一株主の会社であるような場合に関係会社とみなされるもので、シンガポール人的資源省MOM(Ministry of Manpower)に申請を行い、LOC(Letter of Consent)と呼ばれる許可書発行を受けて、登記するものです。
居住取締役がいなければ費用を払って名義取締役を依頼しなければならないことを思えば、グループ会社の取締役を兼任できることは、効率的な運営といえます。
関係会社でないとダメ?相談はしてみるに限る!
最後に、上記LOCを申請する手続きを簡単にご紹介します。
この手続きは第二取締役就任(Taking up secondary directorship)と呼ばれ、以下の書類が必要になります:
・新たに取締役になろうとする会社と、現在の会社との関係を示す資料
・第二取締役に就任することを依頼、承認したことを示す書類(Appointment Letter)
オンラインで必要情報を記載し、所定の箇所に上記の書類をアップロードすれば申請完了、5週間以内に回答があるとされています。
リンク:https://form.gov.sg/#!/5b88b36bdcac67000fec0403
株主の関係がない場合でも、現在の会社における職務とかかわる会社における取締役であれば就任できるとされていますので、だめかもしれないと思っても、まずは申請してMOMに相談するといいでしょう。
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