シンガポール雇用法改正!ポイントその4「給料日」

法務

来年2019年4月1日より、シンガポール雇用法(Employment Act)が改正されます。

一番の変更点は、これまでシンガポール雇用法の対象外であった月給S$4,500以上の従業員、一般にPMET(Professionals, Managers, Executives and Technicians)と呼ばれる専門職・経営者層の従業員に対しても、一律法律が適用になるという点です。

給与がS$4,500を超えているというだけで一切保護が与えられないのでは労働条件が厳しすぎるということで、就業時間の指定と残業代支給を義務付ける第4部(Part IV)を除いて、一般的に雇用法が適用されることになったと理解することができます。

これにより拡大されるのは、主に以下の保護を受ける従業員です:
・年休(Annual Leave):最低7日~14日
・祝日(Public Holidays):働かなくても勤務した扱いの日として補償
・病気休暇(Sick Leave):通院・入院が必要な場合に、診断書が出れば有給休暇がとれる
・給料日(Pay Day):給与計算期間の締め日から7日以前の支給が必要

今週はこのうち、4番目の「給料日」についてまとめます。

シンガポールのルールはどこまで適用される?

給与のルールと聞くと、シンガポール現地雇用のローカルスタッフの給与を第一に思い浮かべる方が多いかと思います。

見逃されがちなことですが、雇用法は本来、シンガポールで働く従業員全員を対象にしたものであり、駐在員として赴任する従業員を特に例外として扱うような条文はありません。

これまでは、月給S$4,500以上であれば経営者側と同一視されるために適用される必要がないと考えられていました。
EP取得要件から言っても、駐在員の方はおおむね月給S$4,500となる方が多く、適用外と考えられてきましたが、今後は給与にかかわらず一律雇用法が適用されるため、実は、日本人の駐在員も、原則シンガポール雇用法の対象となるのです。

本当に外国人にもシンガポールのルールが適用されるの?

しかし、例外もあります。それは、「個人的または集団的雇用契約が国外で締結されていること」です。

つまり、出向元で締結される出向契約書(Secondment Agreement)があるのであれば、それが本人の同意に基づく契約であると理解されるため、シンガポールの雇用法に優先され、例えば「出向元の規則に従う」と書かれている項目については、シンガポール雇用法は適用されないということになるのです。

一方、逆に「現地の法律に従う」と書かれている項目や、出向元の規則にない内容については、ローカルスタッフと同様、今後はシンガポール雇用法が適用されると理解する必要があります。

シンガポールの給料日の概念とは

それでは給与の話に戻りましょう。

日本で給料日といえば、毎月20日や25日に割り当てられる、前月分の給与支給日を指します。

日本の多くの会社では、給与計算期間は原則的に毎月1日から月末までで、計算された給与が翌月の後半に支給されるという形式をとっています。

しかし、この方法はシンガポールの雇用法に反しています。
シンガポールで雇用される従業員は、給与計算期間後の7日以内に給与を支給される必要があるためです。(雇用法21.(1))

一方、残業代その他については、給与計算期間後14日以内に支給することとされています。(雇用法21.(2))

もちろん、十分な説明を行い、雇用契約書などで本人の合意を取り付けて運用するのであれば、必ずしも雇用法通りでなくとも法律上問題はないと言えますが、法律として「7日以内に支払うこと」と定められている以上、できる限り対応するべきでしょう。

変更が難しい場合はどうする?

それでも、親会社の給料日と合わせる必要があって、7日以内の対応が難しい、というところもあるかと思います。

そうした場合、給与支払い日をひと月前倒しして、当月分の給与を20日、25日に払ってしまうという対応にすることで対処できます。

残業代の支払いを分けて行うことも可能ですし、残業代だけは翌月に支払わらるような形でひと月ずらして給与に組み込むことも可能です。

なお、以上のような変更を行う際には、給与等待遇に関係した規則の変更ということで、従業員の全員に説明して合意を得たうえ、署名を取り付ける必要があります。
注意しましょう。

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