皆さん、こんにちは。シンガポール駐在員の岩城です。
今回はシンガポールの部分免税制度について述べさせていただきます。
シンガポールは外資誘致を目的として、幾多の優遇税制を設けており、シンガポールを経由したビジネススキームを活用しようと、多くの日本企業がシンガポールへと進出しています。
【シンガポール法人税の概要】
2013年現在、シンガポールの法人税率は17%が適用され、アジアの中でも最も低い税率の国の一つとなっています。日本の法人税の実効税率は約38%と、その差は歴然であり、企業活動に与える影響もかなり大きいものと言えます。
また、シンガポールには、課税範囲についてもインセンティブがあります。他国においては、国内源泉所得と国外源泉所得の両方が課税対象となる全世界所得課税が一般的ですが、シンガポールにおいて、国外源泉所得のうち、シンガポールに送金された部分のみが課税対象となり、それ以外の所得については、課税対象とはされません。
【Partial Tax Exemptionの概要】
シンガポールの法人税率は17%が適用されていますが、以前よりPartial Tax Exemption(部分免税)が採用されており、課税所得のうち、最初の10,000SGDまでは75%が免税とされ、次の29,000SGDについては50%が免税とされていました。
2013年度の予算案より、上記部分免税に加えて、法人所得税額のうち30%分を減税することが発表されました。ただし、減税額の上限は30,000SGDまでとなっています。これは、シンガポールの物価上昇を理由とした制度であり、シンガポールへの投資をさらに促進するためのものであると考えられます。
【計算例】
課税所得を500,000SGDと仮定した場合、以下のように法人所得税額を計算することになります。
~2012年度まで~
~2013年度から2015年度まで~
※上記法人所得税額から、さらに30%減税されます。
課税所得を500,000SGDと仮定した場合、2012年度までは実効税率が約11.8%だったのに対し、2013年度より約8.3%になっており、さらに低い税率となっています。
【シンガポールビジネスにおけるリスク】
上述の通り、シンガポールではその税率の低さを利用し、税務上の恩恵を受けようと、多くの企業が進出しています。ただし、シンガポール法人に事業実体を持たせず、利益の還流のみを目的とした場合、タックス・ヘイブン対策税制のリスクが発生します。
近年、シンガポールのように税率の低い国にある子会社に対し、当該税制の適用を受け、日本で子会社の所得についても合算課税されるケースが増えています。シンガポールに拠点を構える際には、当該税制の適用除外要件を満たし、有用なビジネスが進む配慮も必要となります。
最後に、先日弊社より『シンガポール・香港 地域統括会社の設立と活用』が出版されました。シンガポール紀伊国屋等でも販売されておりますが、現地価格となっておりますので、シンガポールで購入を希望される際には、下記連絡先までお問い合わせ頂ければと思います。
地域統括会社としての機能を持たせるスキームや、上記労務に関する詳細、会計税務についても網羅的に記載しております。
Tokyo Consulting Firm Co. Pte. Ltd.,
岩城 徳朗(iwaki noriaki)
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