1.シンガポールの公証手続きとは?
公証と認証の違いについて説明します。公証(notarisation)は、それをもってその文書が「本物であること」の証明となり、主に私文書に対して行われます。一方、認証(legalisation)は、外国で用いられることを前提とした公文書が対象となり、公的機関、もしくはアポスティーユをもって行われます。
日本の公証人は、私文書を対象とした公証しか行うことができません。一方、シンガポールの公証人は、公文書を対象とした認証を主に行いますが、公証も行うことができます。
また、日本においての公証手続きは、文書を認証することにより外国での利用を可能とすることに主眼を置いていることに対して、シンガポールでの公証手続きは、虚偽の文書を排除することを目的としている点においても、両国の公証手続きは相違しています。
2.条約加入後の手続きの変更点
従来シンガポールでは、公文書を外国で用いる場合、①公証人、②シンガポール法曹協会、③外務省、④在シンガポールの各国大使館、の順番で4段階の認証手続きを経る必要がありました。4段階の認証手続きをワンストップで請け負う業者もありましたが、それでもかなりの時間、費用を要するものでした。
2021年1月19日、シンガポールは認証不要条約(通称「ハーグ条約」)に加盟しました。ハーグ条約の加盟国は公文書を用いる際に、大使館等での認証を省略し、手続きを簡略化することができます。(日本、やインドなども本条約に加盟しています。)シンガポールが本条約に加盟した翌日の2021年1月20日より、③の外務省での認証手続きが省略されました。また、9月よりシンガポール法曹協会が発行するアポスティーユという証明書を持って、公証手続き、並びに在シンガポール各国大使館での手続きを省略することができるようになり、時間・コストの大幅な軽減が見込まれます。
また、認証不要条約に加盟している他国の公文書をシンガポールにて用いる場合においても、該当国でのシンガポール大使館での手続き等は省略することができ、アポスティーユのみを持って、手続き完了とすることができます。
3.いつからアポスティーユ可能になるのか
実務上、アポスティーユによる公証手続きの簡易化は、2021年9月16日となるため、それ以前の公証手続きは、従前の公証人による認証、シンガポール法曹協会、在シンガポール各国大使館による3段階認証手続きを経る形となります。
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株式会社東京コンサルティングファーム シンガポール法人
田中勇
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