皆さん、こんにちは。シンガポール駐在員の岩城です。
今回からローカルスタッフ採用時の留意点についてシリーズで情報提供していこうと思います。今回は基礎知識編として、シンガポール進出企業の各種書類の整備状況について私の実感を交えてお伝えします。
シンガポールでは、就業規則の作成義務もなければ、雇用契約書の作成義務もありません。解雇時のnoticeについても、letterを発行することをよしとしていますが、義務とはなっておらず、雇用法を守れば問題のないものとなっています。
Job hoppingの風習が定着しているシンガポールにおいて、これらをきちんと整備している企業や整備していても見直しを行っている企業が多いとは言い難いのが実状ではないでしょうか。
もちろん、義務化されていないので作成する必要はありません。しかし、本当にそれで良いのでしょうか。仮にこれら書類の作成が義務化されていれば作らなければならないのは当然ですが、義務だから作るというものではありません。本来の作成する意味を考えて頂ければと思います。
就業規則にしろ、雇用契約書にしろ、これらは従業員が安心して働ける環境を保障する企業の指針にもなっています。Job Hoppingが定着しているからローカルスタッフは辞めてしまうというのは、ある種日本企業の言い訳にも近いものだと考えていただければと思います。シンガポールの中には定着率の高い企業もあります。そういった会社の就業規則や雇用契約書を拝見すると、やはり内容の濃いものになっており、福利厚生については毎年見直しされ、長期就業できる土壌が整備されているものと感じます。
日本企業にありがちなのは、20年前に設立し、当時弁護士に依頼して各種規則を作ったきり見直しをしていないということです。「とりあえずあります。」という回答をよく聞きますが、おそらく当時の責任者と今の責任者は変わっており、今の責任者はそれを一度も確認した事がないというケースもあるのではないでしょうか。それでは、当然従業員の定着が高まることはないでしょう。
各種規則は、会社が従業員に対する1つのアピールの場であるということを考える必要があるのではないでしょうか。
次回以降、各規則内容の実態及び必要となる項目について確認していきたいと思います。
【問い合わせ先】
Tokyo Consulting Firm Co. Pte. Ltd.,
岩城 徳朗(iwaki noriaki)