シンガポールから撤退・清算を検討する日系企業が増えています。休眠会社を放置すると年次コンプライアンス違反として罰則の対象になるため、早めのストライクオフ申請が有効な選択肢です。本記事では2026年5月施行のCALA 2025を踏まえた申請要件、手続きの流れ、復活リスクについて解説します。
1. シンガポールのストライクオフ(Striking Off)とは?
ストライクオフ(Striking Off)は、事業を行っていない会社をACRAの登記簿から抹消する行政手続きです。清算人の選任が必要な清算(Winding Up)と異なり、費用と時間を抑えて会社を整理できるため、休眠子会社や撤退時の受け皿会社の整理に広く利用されています。
ただし適用できるのは負債や係争がない会社に限られ、資産処分が必要な場合は清算手続きを選ぶ必要があります。
2. 申請できる会社の要件
ACRAへのストライクオフ申請には、以下の条件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると申請が却下されるため、申請前に社内で漏れなく確認することが実務上のポイントです。
- 事業を開始していない、または既に停止していること
- 未払いの債務や行政機関との未解決事項がないこと
- 登記簿上の担保(チャージ)が残っていないこと
- シンガポール内外で訴訟や規制上の処分を受けていないこと
- 取締役の過半数(または全員)が申請に同意していること
3. 手続きの流れとスケジュール
申請が承認されると、ACRAは登記上の住所宛に通知を送付します。CALA 2025施行により、自発的申請の場合は従来の30日間の異議申立期間を待たず、最短で通知翌日に官報公告が行われるようになりました。その後、60日間の公衆からの異議申立期間を経て、最終的に登記簿から抹消されます。
| ステップ | 内容・所要期間 |
|---|---|
| ① 申請・承認 | ACRAへストライクオフを申請。承認後、登記上の住所宛に通知が送付される |
| ② 官報公告 | 自発的申請の場合、最短で通知の翌日に官報公告(CALA 2025施行前は30日間の待機が必要) |
| ③ 異議申立期間 | 公衆からの異議申立期間として60日間 |
| ④ 登記簿から抹消 | 異議がなければ登記簿から抹消。承認から完了まで最短でも3か月程度 |
承認からストライクオフ完了までは異議の有無にもよりますが、最短でも3か月程度を要するため、決算期や親会社の会計スケジュールとの調整を早めに始めることが実務上のつまずきポイントです。
4. CALA 2025施行後の復活(Restoration)リスク
2026年5月6日に段階施行が始まったCALA 2025により、会社法関連の規定が包括的に見直されました。ストライクオフされた会社は、債権者や利害関係者からの申立てにより、抹消後6年以内であれば裁判所命令によって登記簿へ復活する可能性があります。ただし本改正により、会社が不法な目的や治安を害する恐れがある場合、復活申請が却下される法的根拠も新設されました。
復活時には未処理の債務や税務義務が遡って会社に帰属するため、「ストライクオフ=完全なリスク遮断」ではない点に注意が必要です。撤退前に会計士・税理士と連携し、未払税務や簿外債務がないかを最終確認しておくことをおすすめします。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法務・税務アドバイスではありません。
具体的な案件については専門家にご相談ください。
5. 参考リンク(政府公式)
- ACRA – Striking off a local company:
https://www.acra.gov.sg/manage/companies/closing-a-local-company/striking-off/ - Singapore Statutes Online – Companies Act 1967:
https://sso.agc.gov.sg/Act/CoA1967
シンガポールからの撤退やストライクオフに関するご相談は、東京コンサルティングファームまでお気軽にお問い合わせください。
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