いつもお世話になっております。
東京コンサルティングファームの吉岡です。
本稿では、フィリピンのドゥテルテ大統領は、大統領に与えられた30日間の法案承認期限の終了間際となった2021年3月26日に「法人税及び税務恩典改正法」(共和国法第11534号)、
すなわちCREATE法案に対して、一部条項を拒否しつつ署名しました。
この法案は4月11日に有効となりました。
本ブログでは前回のブログ「②“CREATE法案”、Non PEZA企業に関連する改正事項」に続き、
「③“CREATE法案”、新規にインセンティブ管轄機関へ登録する企業に対する改正事項」について述べます。
①“CREATE法案”の概略
②“CREATE法案”、Non PEZA企業に関連する改正事項
③“CREATE法案”、新規にインセンティブ管轄機関へ登録する企業に対する改正事項
④“CREATE法案”、既存PEZA企業に関連する改正事項
※ただし、大統領による署名を終え、このCREATE法案が最終的に通ったとはいえ、法案の適用の部分においては不透明なところが多いことから、今後の政府の発表などに注意しなくてはなりません。
またフィリピンの開発予算調整委員会(DBCC)が決定した予算税収目標が下回った場合、大統領が財務長官の勧告を受けて停止できるとの記載があります。
すなわち、フィリピン経済の状況に応じて、当該税制の変更や停止が見込まれる可能性もあることに注意を払う必要があります。
新規にインセンティブ管轄機関へ登録する企業に対する改正事項
これから新規にインセンティブ管轄機関へ登録を行う企業に対しては、主に以下の通りです。
1.マニラ首都圏は4年間、首都圏近郊は5年間の所得税免税期間が与えられる
2.所得税免税期間終了後10年間に渡って5%の特別税率か、追加控除*(ED : Enhanced Deductions)のいずれかを選ぶことが可能
3.VATに関しては、登録事業、かつ限定的に使用する物品およびサービスの輸入、国内での購入についてのVATが免除される
4.登録事業、かつ限定的に使用する物品およびサービスの輸入関税は免除される*
*ただし、以下の条件を満たす必要あります。
A. 当該物品およびサービスがフィリピン国内で、量・質が十分に入手できないとき
B. 上記の免除を受けるために、事前にIPA(Investment Promotion Agencies)に事前承認をとること
*追加控除とは、主に以下のことを示します。
・ 法人税率の減税、という考え方ではなく、課税所得の算出時に一部の費用分は
課税所得から控除される、という考え方が特徴的なインセンティブです。
・ 適用可能期間は 5~8 年(業種や地域により変動する)。政府による審査でさ
らに 3~4 年の延長が認められる場合がある。ただし合計の適用期間は最大で
12 年間。
・ 控除対象とされる費用は様々。販管費に該当する減価償却費の一部、直接労務費の 50%、研究開発費、研修費(事前承認を得たもの)、国内投入費用の 50%、電気代の 50%など。
因みに、今回の法案で、企業の法人税のインセンティブを受けられる業種においては、戦略的投資優先計画(SIPP : Strategic Investment Priorities Plan)の中で策定されます。
以下のTier1からTier 3までのカテゴリー分けは、立地する地域と産業ごとに SIPPで規定されます。SIPPに該当するアクティビティについて、所得税免税期間を終えた後、「特別税率」あるいは「追加控除」インセンティブのいずれかを享受することができます。
主なインセンティブの適用例(輸出型企業)
主なインセンティブの適用例(輸出型企業以外のIPA登録国内市場企業)
ITH:所得税免税期間のこと SCIT:5%の特別税率のこと
ED:追加控除のこと
IPA(フィリピン投資誘致機関):Investment Promotion Agenciesのこと。
以上となります。
次回では、「④“CREATE法案”、既存PEZA企業に関連する改正事項」について述べます。
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Tokyo Consulting Firm – Philippine Branch
吉岡 大樹(よしおか だいき)
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