2025年版:ミャンマー会計④

税務

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ、ミャンマー拠点の渡辺 晃です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「2025年版:ミャンマー会計④」についてお伝えします。

 

ミャンマーについて知りたい方は…

ミャンマーに関する基礎知識が知りたい方は、こちらから▼
・ミャンマーの基礎知識
ミャンマーに関するセミナーに参加したい方は、こちらから▼
・ミャンマー関連セミナー

 


目次

【2025年版:ミャンマー会計④】

要約

  • 監査義務は一律ではなく、小規模会社には免除条項があります。該当しない会社は設立記念日基準でARと監査済み財務諸表をMyCOに提出します。
  • 会計基準はPIEに対して2027〜2028会計年度からIFRS本体の適用が義務化される見通しです。その他の会社もIFRS/IFRS for SMEsへの段階移行が想定されます。
  • 監査基準はISA/ISRE/ISAE/ISRSおよびISQMの枠組みに沿う運用が進んでいます。内部統制と監査証拠の整備が重要です。
  • 監査人はMAC所管で、CPA試験(Part I/II)と実務要件を満たし、PAPP等として登録する必要があります。監査契約時は有効登録と品質管理体制をご確認ください。
  • 会計年度は「4月1日〜翌3月31日」への移行が広がっていますが、所管当局の通達により差が残る場合があります。

監査が必要となる会社の範囲

 ミャンマー会社法(MCL)では、小規模会社(スモールカンパニー)に対して提出義務や監査義務の緩和措置が設けられております。具体的には、従業員数が「30人以下」および年間売上高が「50,000,000MMK未満」であれば、監査済み財務諸表の作成・提出が免除される場合があります。

 一方で、小規模会社に該当しない会社は、設立記念日を基準とした年次サイクルで年次報告(AR)をMyCO(DICAのオンライン登記システム)に提出することが求められます。なお、公開会社(Public Company)に該当する場合は、ARと同時にForm G-5を通じて監査済み財務諸表の提出が義務付けられています。
一方、非公開会社(Private Company)は通常、DICAへの監査済み財務諸表提出義務はありませんが、年次監査の実施および年次株主総会(AGM)での提示が必要です。

 実務上は、まず自社が小規模会社の要件(従業員数および年間売上高)に該当するかを確認し、提出・監査・AGMスケジュールを「設立記念日ベース」で管理することが重要です。

 

会計基準(Accounting Standards)

 会計基準は、公益性の高い事業体(Public Interest Entities:PIE)から国際基準へ本格移行が進んでいます。最新方針では、PIEに対してIFRS本体の適用が2027〜2028会計年度から義務化される予定となりました。過去の通知は整理・撤回されており、IFRSへの一本化の方向性がより明確になっています。PIEに該当しない一般企業につきましても、IFRSまたはIFRS for SMEsへの段階的な移行が想定されますので、既存のMFRS等からの切替え計画を早めに立案しておくことをおすすめします。

 

監査基準(Auditing Standards)

 監査基準は従来ミャンマー監査基準(MSA、2009年ISAに整合)を基礎としてきましたが、近年は国際監査・保証基準(ISA/ISRE/ISAE/ISRS)および品質マネジメント基準(ISQM)を採用する方向で運用が進んでいます。監査法人・公認会計士側では国際基準ベースの審査・文書化が求められるため、被監査会社としても内部統制や監査証拠の整備水準を国際基準に合わせておくことが、監査の効率化と指摘リスクの低減に有効です。

 

監査人の資格・登録

 監督官庁はミャンマー会計評議会(MAC)であり、監査業務に従事するためには、所定の試験(通常はPart I/Part II)と一定期間の実務経験を経たうえで、CPA資格および監査実務者としての登録(PAPP等)が必要です。職能団体であるMICPAへの加入も前提とされています。監査契約の締結にあたっては、担当監査人が有効な登録を保持しているか、組織として品質管理体制(ISQM)を整備しているかを事前に確認できると安心です。

 

会計年度の取り扱い

 会計年度は、政府部門・金融セクターの移行を起点に、一般企業でも「4月1日〜翌年3月31日」への統一が広がっています。もっとも、監督官庁や業種別規制により適用の通達に差が残る場合がありますので、金融・公益事業など所管当局のガイダンスを必ずご確認ください。会計年度の変更を予定する場合は、登記・税務・監査スケジュールへの影響を見越して、稼働カレンダーを前広に調整することが肝要です。


無料会員登録をされてない方は、以下のボタンから必須項目を入力後、
メールに届くパスワードを入力するとブログを閲覧できます。

この記事に対するご質問・その他ミャンマーに関する情報へのご質問等がございましたら

お気軽にお問い合わせください。

※画像クリックでお問い合わせページへ移動します

【PR】海外最新ビジネス情報サイト「Wiki Investment」


※画像クリックでWiki Investmentページへ移動します

進出予定の国、進出している国の情報本当に分かっていますか?

進出してビジネスを成功させるためには、

その国の知識や実情を理解しておくことが必須となってきます。

しかし、情報が溢れかえっている社会ではどれが本当に信頼できる情報なのか?

重要になる要素かと私は思います。

そんな「信頼できる情報」をまとめたサイトがあれば、どれだけ楽に情報収集ができるだろう…

その思いから作成したサイトがWiki Investmentです!!

弊社東京コンサルティンググループは海外20カ国超に拠点を有しており、

その現地駐在員が最新情報を「Wiki Investment」にまとめています。

【Wiki Investmentで何ができる?

・現地駐在員が毎週ホットな情報を更新するNews update

・現地に滞在する方からご質問頂く、
 より実務に沿った内容が記載されているQ&A集

・当社が出版している海外実務本をデータベース化したTCG書籍

などの新機能も追加しました!

 

経営者・幹部層の方におススメしたい【全ての経営者へ贈るTCGブログ】

※画像クリックで「TCGブログ」ページへ移動します

会社経営や部下のマネジメントをしていると、様々なお悩みって出てきませんか?

どうしたら、会社は良くなっていくんだろう・・・
・部下が育ってくれるにはどうしたらいいんだろう・・・

そういったお悩みをもつ経営層の皆様におススメしているブログがございます。
コンサルティングファームとして、これまで多くの企業様と関わり、
課題を解決してきたコンサルタント達による

経営課題や悩みについて解説したブログを無料公開しております。

もっと会社を良くしたい!、マネジメントについて学びたい!

そうお考えの皆様におススメのコンテンツとなりますので、ぜひご覧ください!

・「全ての経営者へ贈るTCGブログ」はこちらから

 


株式会社東京コンサルティングファーム ミャンマー拠点
渡辺 晃


※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。
該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Ltd.)は一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。

関連記事

2025年版:ミャンマー会計③

ページ上部へ戻る