- 2018-9-18
- 労務
こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの清水皐でございます。
今週は、メキシコで外注契約を結ぶ上での留意点について記載致します。
質問)
ある専門的な業務を、個人事業主の方に外注契約を結んで委託したいのですが、この契約によってこちら側(企業側)が、個人事業主の方の雇用主と捉えられてしまうケースはあるのでしょうか。
また、PTU対策として人材派遣企業を利用している企業が多いと聞きましたが、違法ではないのでしょうか。
回答)
まず、外注契約や、人材派遣企業との契約を締結していても、外注先の企業がその労働者の雇用主とみなされてしまう可能性はございます。
適切な外注契約と認められる為に満たさなければならない条件として、メキシコ連邦労働法(Lay Federal del Trabajo)第15条-Aには以下のような記載がございます。
a) No podrá abarcar la totalidad de las actividades, iguales o similares en su totalidad, que se desarrollen en el centro de trabajo.
b) Deberá justificarse por su carácter especializado.
c) No podrá comprender tareas iguales o similares a las que realizan el resto de los trabajadores al servicio del contratante.
こちらの文言によりますと、
「外注先企業の業務全て、またはその殆どを委託しているものではないこと」
「その業務の専門性によって委託の必要性が認められること」
「その企業の社員が行っている業務と同等、または類似した業務ではないこと」
と3つの条件が提示されております。
これらの条件を満たしていない場合は、外注先企業の会社が雇用主と見なされ、PTUや社会保障上の支払義務等を担う必要があります。
また契約の締結はかならず書面上で行い、人材派遣企業を利用する場合は、その企業が労働者に対する労働法上のコンプライアンスを守っていることを確認する必要もございます。(同法第15条-B,C)
また、2つ目のご質問に関してとなりますが、ご認識の通り、PTU対策として人材派遣等の外注契約を利用している企業も多く見受けられます。
しかし、こちらのスキームは違法とみなされる可能性が高く、労働法15条-D及び1004条-Cでは以下のように記載されております。
A quien utilice el régimen de subcontratación de personal en forma dolosa, en términos del artículo 15-D de esta Ley, se le impondrá multa por el equivalente de 250 a 5000 veces el salario mínimo general.
A quien utilice el régimen de subcontratación de personal en forma dolosa, en términos del artículo 15-D de esta Ley, se le impondrá multa por el equivalente de 250 a 5000 veces el salario mínimo general.
こちらの文言によりますと、PTUの支払義務を回避する等、法で定められている義務にも拘らず、企業側の負担を減らすという目的で、外注契約を利用することは違法とされており、罰金の対象となります。
罰金の金額は、最低賃金の250~5,000倍とされており、今年であればメキシコの最低賃金は88.36ペソ/日なので、22,090~441,800ペソ(およそ13万~265万円:1ペソ=6円換算)の罰金が課せられる危険性がございます。
可能な限り、このようなリスクは避けたいものですね。
弊社では人材紹介事業も行っておりますので、人材をお探しの場合は、是非弊社までお問合せ下さいませ。
*引用元「Ley Federal del Trabajo(メキシコ連邦労働法)」
https://www.juridicas.unam.mx/legislacion/ordenamiento/ley-federal-del-trabajo#31734
清水皐