今回はメキシコの株式会社の機関設計に必要な要素のうち、株式についてお話します。
メキシコにおける株式とは、日本と同様に、株式会社における社員権(ここにいう社員とは、主に出資者および投資者)のことを指します。
株式会社における株式は、種類ごとに均一に細分化された構成単位を取る点に特徴があります。そのために、株式会社が事業に必要な資金を調達する際に資本を細分化し、少額の出資を多数の出資者から募ることが可能となるのです。
また、株式を標章する有価証券が株券と呼ばれ、メキシコにおける株式の種類には以下のようなものがあります。
[株式の種類]
A株:議決権制限株式で議決権を持つが、メキシコ人のみが取得可能
B株:普通株式で議決権を持ち、メキシコ人、外国人のいずれもが取得可能
C株:外国人投資家の議決権を制限した議決権制限株式L株:議決権を制限した議決権制限株式
U株:複数の種類の株式を合わせた株式。たとえば、UBC株はBとC株を合わせた株式となる
[株券の発行]
商事会社一般法には法定要件を満たす上記の株券を発行する旨が記載されており、現行法制において株券は一律、記名式としなければならないとされています。
ただし、実際の慣行としては、株券未発行による具体的な罰則があるわけではないため、新規会社設立に当たって株券を発行しないする企業もは多くあるないという現状です。
[自己株式]
メキシコにおける自己株式については、会社が債務者に対して訴えを提起して、債務者が持つ自社の株式を競売により取得する場合を除いて、株式会社が自己株式を取得することは原則として禁止されています。
また、上記の場合、会社は株式を適法に処分できる期日より起算して、3カ月以内に売却するものとし、この期間に売却しない場合は株式は消滅し、減資手続がなされます。なお、株式が会社に帰属する間、当該株式にあっては株主総会で議決権を行使することはできません(商事会社一般法134条)。
[株式の発行価額]
メキシコにおける株式の発行価額については、既存株主への影響を考慮し、会社は額面以下で株式を発行することができません(商事会社一般法115条)。
[配当の決定方法]
配当を議決権制限株式に割当てる前に、普通株式に割当てることはできません。
当会計年度に配当がない、または、配当還元率が5%に達しなかったときは、定められた優先順位により、次年度以降に支払われるものとすることが定められています(商事会社一般法113条)。
以上、お読みいただきありがとうございました。
なお、本記事は2019年9月時点の内容となっております。最新情報やより詳細な情報は弊社サービスのWiki Investmentをご利用頂きたいと思います。Wiki Investmentへの登録は、下記のリンクからお願い致します。