メキシコの繰越欠損金のインフレ調整について

税務

 

皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの渡辺 寛です。
今週はメキシコの繰越欠損金のインフレ調整をご紹介します。

 

質問)
2017年度の法人所得税の確定申告書では、繰越欠損金(PERDIDA FISCAL)が,1,500,000と記載してありました。2018年度においては、利益(課税所得)が発生したため、それを適用させたいと考えております。
しかし、メキシコでは繰越欠損金においてもインフレ調整が必要とお伺いしたため今回、上記の金額とは認識が異なるのではないかと考えています。
繰越欠損金のインフレ調整とは具体的にどのようなものでしょうか。

 

回答)
繰越欠損金に限らずメキシコでは、税金計算をする上でインフレ調整が行われますが、その時使用されるのはINPCになります。
(インフレ調整は、繰越欠損金以外にも減価償却費や課税所得の計算で行われます。)

INPCとは、Indice Nacional de Precios al Consumidorの略で直訳すると全国消費者物価指数になります。
毎月、国税庁であるSATが発表しており下記のURLで確認することができます。

http://omawww.sat.gob.mx/informacion_fiscal/tablas_indicadores/Paginas/inpc_2018.aspx

 

具体的な計算方法を下記にて記載いたします。

例)2017年度 繰越欠損金 1,500,000MXN

1 2017年12月末にて計算

2017年12月INPC
――――――――― × 1,500,000
2017年7月INPC

2 2018年6月にインフレ調整

2018年6月INPC
――――――――― × ①の計算結果
2018年12月INPC

3 2019年6月にインフレ調整

2019年6月INPC
――――――――― × ②の計算結果
2019年6月INPC

 

4 以降は毎年、6月のINPCで計算され続けることとなります。
当年度のINPCが分子にきて、前年度のINPCが分母に来るという繰り返しになります。
また繰越欠損金は、発生年度ごとに管理する必要があり、翌年度で再度繰越欠損金が発生したからといって、合算させて管理することは出来ません。
財務諸表上では、明確な数字は出ておりませんので、会計士の管理表または、法人税の確定申告書をチェックする必要が御座います。
繰越欠損金は、最大10年間までとなっておりますのでご注意をお願い致します。

 

上記の通り、毎年繰越欠損金は、インフレ調整を行う必要がありますため、発生年度の確定申告書に記載された金額と翌年以降での実際の金額は、少し異なることになります。

 

 

株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
渡辺寛

 

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Ltd.)は一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。

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