メキシコの産業構造

 

皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。
今週からメキシコ現地での業務をスタートしました。

現地よりメキシコの情報をお伝えしていきたいと思います。

質問)
現在、日系企業の進出先としてメキシコが注目されています。具体的、どのような産業が現地ビジネスを行っているのでしょうか。

回答)
メキシコの産業構造は、豊富な鉱業資源産業、生産拠点としての輸出向け自動車産業、加えて他国から進出が相次ぐ電気・電子製品などの産業が中心です。
1994年にアメリカ・カナダ・メキシコの間でNAFTAが締結された後も、40カ国以上の国とFTA(自由貿易協定)を締結しており、メキシコ経済は輸出中心の産業構造となっています。
メキシコは、製造業の生産拠点として必須条件である低い労働コストと地理的条件を満たしており、自動車関連メーカーはもちろんのこと、家電から航空機メーカーに至るまで多くの製造業がメキシコに進出しています。

今回は、その中で最も産業として規模の大きな自動車産業に注目します。

メキシコの自動車産業は、1994年のNAFTA締結以降、大きくきく成長を遂げてメキシコ最大の産業となりました。巨大な北米自由市場の一員となったことで、世界中の自動車メーカーがメキシコに進出し、生産拠点を構えることになりました。
世界最大のマーケットであるアメリカに隣接し、かつ中南米にアクセスしやすいという有利な条件を持ち、40 カ国以上の国々との自由貿易協定を締結していること、安くて質の高い労働力を確保できること、政治・経済ともに比較的安定していることなどを背景に、外資の参入が進み自動車産業は飛躍的に発展しました。

メキシコの自動車産業はGDPの1.5%、製造業の8.7%を占めるほどになっており、2013年の生産台数は前年比の1.7%増の293万3,465台で過去最高を更新しています。
また、2013年の販売台数は前年比の7.7%増の106万3,363台となり、年間100万台を超えました。これはリーマンショック以来の高水準であり、個人のローンを利用した車の購入が堅調に推移しており、この自動車販売を押し上げる形となっています。

メキシコで乗用車生産を行っている企業は外資を含め9社(GM、フォード、クライスラー、フォルクスワーゲン、アウディ、日産、ホンダ、トヨタ、マツダ)であり、日系自動車産業の対メキシコ直接投資についても、関連メーカーおよび関連商社のメキシコ進出を含め非常に盛んになっています。
いち早くメキシコでの生産を始めた日産は年間68万台を生産しており、23%のシェアを占めるメキシコ最大の自動車メーカーとなっています。日産に比べると進出の遅かったホンダ、トヨタも生産台数を伸ばしており、2014年には、マツダもメキシコにおいて量産を開始しています。
仕向地別にみると、北米向けは10.7%増の184万1,801台と引き続き堅調に推移しており、アメリカ国内における年間販売数の10%はメキシコで製造された自動車と言われています。中南米向けは、ブラジルとの自動車協定のブラジル側の見直しを主な原因とし、16%減の30万7,581台となりました。国別の販売動向をみてみると、ブラジル向けが22.9%減、チリ向けが29.2%減、アルゼンチン向けも2.2%の減少となっています。ブラジルよりも減少幅の大きいチリ向けの減少については、安価な韓国車および中国車の販売台数の拡大が影響しているものとされています。
その他、欧州向けの販売も欧州債務危機の影響で32.35%減少し、14万4,120台となっています。
こうした各国向けの販売数が減少する中でも、前述のとおり自動車産業の対メキシコ直接投資は依然として増加をつづけています。

 

【世界の自動車生産ランキング 2013年】

順位 国名 台数(台)
1 中国 22,116,825
2 米国 11,045,902
3 日本 9,630,070
4 ドイツ 5,718,222
5 韓国 4,521,429
6 インド 3,880,938
7 ブラジル 3,740,418
8 メキシコ 3,052,395
9 タイ 2,532,577
10 カナダ 2,379,806

出所:OICA

【メキシコの自動車生産、輸出台数、国内新車販売台数】(単位:台)

メキシコの自動車生産、輸出台数、国内新車販売台数

出所:Asociacion Mexicana de la Industria Automotriz A.C.

 

 

メキシコの自動車産業の大きな特徴の一つが、その輸出割合の高さです。NAFTA締結当初も、メキシコにおける自動車生産総数の約半数が輸出されていましたが、輸出傾向は一層高まり、2013 年には82.1%が輸出されています。輸出先はNAFTA加盟国であるアメリカとカナダが圧倒的に多いため、メキシコは積極的に他国との貿易協定を締結しています。そのためアメリカ、カナダ向けの割合は、2006 年に88%ありましたが、2011 年には 71%にまで相対的に下がっています。

もう一つの特徴は、メキシコの自動車生産における部品調達の自由度の高さと豊富さです。メキシコには多くの多国籍自動車メーカーが進出しているため、様々なメーカーやブランドに対応できる中小の部品メーカーが数多く存在します。さらに、自由貿易協定が進んでいるため、国外からの部品調達における関税障壁が低い、あるいはないという条件のもと、グローバルなサプライチェーンを生かした生産ができるという点も特徴の一つと言えます。

 

 

東京コンサルティングファーム

メキシコ共和国

黒岩 洋一

 

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