皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。
今週はメキシコにおける人材費の状況について記載します。
質問)
近年のメキシコ市場への日系企業の進出ラッシュは、最大マーケットであるアメリカに近く、かつ他国よりも人件費を安く抑えられるという理由で、自動車関係の企業が出てきた結果だと聞いています。
その一方で、多くの自動車関連企業がバヒオ地域に進出した結果、需要に対して供給が追い付かず、人件費の高騰が続き、当初想定していたよりも人件費を抑えられていないという声も聞きます。実際のところ、人件費削減という点においてメキシコでのビジネスは有効ではないのでしょうか。
回答)
メキシコに限らず、新興国でビジネスを行おうと考えた場合の理由は以下の2つに集約されると考えられます。
1)コストの削減
2)マーケットの拡大
今回の質問にあったような人件費を中心に置いたコストの削減の考え方は、特に労働集約的な産業にとっては重要な課題です。コストを抑えるためには、売上の6割を占める人件費をどれだけ下げられるかが重要であり、事実メキシコにおいてもこの観点から多くの企業進出が図れていると思われます。
ただし、人件費は毎年上昇します。特に新興国では先進国以上の上昇率となっているため、コストの削減だけに注力をしてしまうと、年々利益を圧迫します。
加えて、メキシコは労働者保護が強く、アギナルドやPTUなどの社会保障費用を考慮すると結果として、当初予定していた効果を得られない可能性があります。