こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの清水皐でございます。
今週は、メキシコにおける現地人採用時の留意点について記載いたします。
質問)
会計業務を内製化するにあたり、経理のスタッフを1名、マネージャー候補を1名採用することを検討しております。スタッフレベルであれば2、3年程度の実務経験があればよいのですが、マネージャーに関しては実務経験に加えて、英語もしくは日本語で日本人とコミュニケーションができる程度の語学力が欲しいです。
このようなポジションの人材を採用する場合、気にしておかなければならない点等ございますでしょうか。
回答)
採用時の留意点に関しまして、弊社の見解を以下記載いたします。
[スタッフクラス]
スタッフクラスの多くは、管理部門か営業部門での採用になりますが、今回の経理のように管理部門であれば基本的には女性を採用することが望ましいです。メキシコにおいても会社の小口現金の盗難やPCの盗難、その他横領などが起こることがありますが、その多くが男性従業員によるものだといわれているからです。そのため他国と同様に、貴重品の取扱には女性が向いていると考えられます。また、筆者の経験談としても女性の方がよく働きます(東南アジアと同じ気風があるように感じます)。
その他の専門的な知識が必要な採用(経理、会計、労務、法務など)についても、同様に面接時にしっかりと知識面を確認する必要があります。その際、できるかという質問に対しては“できる” と必ず答えるのがメキシコ人ですので、具体的なプロセスを問う、実際にやらせてみる等、理解度を正しく測るためには工夫をしなければなりません。
給料水準はワーカーより高く、月におおよそ10万~15万円程度ですが、ワーカーと同様スタッフクラスもあまり預貯金を行う習慣はありません。そのため給与に関しては、多くの企業が月2回の支払を行っています。
経験上、支払の回数を増やしてくれとはあまり言ってきませんが、中にはお金を貸してくれ、給与を前借りさせてくれという従業員もいるので、このような場合の対応策を事前に決めておくとよいでしょう。
ちなみに、今回の経理職では必須ではないかもしれませんが、営業部門に関して運転免許証を応募資格とする場合は一点注意が必要です。メキシコは普通自動車の免許を即日で購入(5,000円程度、地域によっては講習や試験なし)することができるので、免許を持っていても車が運転できない者がいます。そのため、面接時に運転の可否も確認しなくてはなりません。
[マネージャークラス]
マネージャークラスの採用時に留意する点としては、ご質問内容にも記載されていましたように英語(もしくは日本語)の話せる人材が好ましいです。日本人に代わってスタッフやワーカークラスへの指導・理念共有を行うこともマネージャークラスの重大任務となりますため、多くの日本企業がこの語学力を採用の必須条件としています。ただ、日本企業に勤めているメキシコ人マネージャーであっても、日本企業の理念や働き方を理解できない者は多くいます。中には、上司である日本人駐在員の意見よりも、部下であるメキシコ人スタッフの意見を尊重する者もいるので注意が必要です。
マネージャーは、ワーカークラスやスタッフクラスと比べると給与水準がかなり高くなり、月30万~50万円程度支払う必要が出てきます。スタッフクラスに多い面接時の自己の過大評価は、マネージャークラスになるとかなり少なくなりますが、面接の段階でしっかりと該当者の能力を見定めておかなければ、後で給与に見合った働きではなかった等の手痛いしっぺ返しがくることにもなりかねません。そのため、面接は3回以上行うことが望ましいです。日本企業は一般的に、実際に現地に飛んで面接することが難しいために、テレビ電話やSkypeを使った面接を行うことが多くなっています。
また、メキシコ人マネージャーの中には業務を管理するだけではなく、業務を実際に行ってしまう者(プレーイングマネージャー)も多いので、採用時に該当する管理職の働き方をしっかりと示す必要があります。
今週は以上となります。
ご不明な点がございましたら、どうぞお気兼ねなくお問い合わせください。
株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
清水皐
※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Ltd.)は一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。