経営は4つの視点で考えることが重要であり、その具体的な視点として、
【財務の視点】、【顧客の視点】、【プロセスの視点】、【組織の視点】を順次説明していきます。
今回は【プロセスの視点】の①在庫管理が命!です。
【プロセスの視点】
- 在庫管理が命!
- 変動費と固定費はどう削減するか。
- リモート化
- ペーパレス化
- 内部統制的アプローチ
- 見える化→共通認識→標準化→仕組み化
さて、前回は下記の月次推移での限界利益率を表していて、ここから何が読み取れるか、という質問で終わっていましたので、
その解を述べていきたいと思います。
4月の限界利益率20%
5月の限界利益率19%
6月の限界利益率22%
7月の限界利益率7%
8月の限界利益率33%
9月の限界利益率21%
10月の限界利益率11%
11月の限界利益率18%
12月の原価利益率20%
上記の7月と8月における限界利益率のブレは前回に説明しました。月ヅレが原因のひとつだと考えられるということでした。
おさらいしておくと7月に計上するべき在庫が計上されていなかったから、当月に売上に対する原価(売上原価)が相対的に高くなり、
原価率が高いと、必然的に限界利益率が低くなるという現象が起きます。そして、8月に計上されるべき在庫が表れて、
カウントした結果、8月は在庫が過剰な状況となり、売上に対する原価率が相対的に低くなり必然的に限界利益率が高くなるのです。(下図参照)
これは7月8月の2か月を通して見てみると、限界利益率は「(7%+33%)/2か月=20%」になることがわかります。
必ず、とは常に言うことはできませんが、在庫の月ヅレがあったのではないかという仮説を立てることはできるのです。
では、次に限界利益率が異常な数値になっている月はどこでしょうか。10月の11%は標準限界利益率を20%に設定している会社では、
異常な数値となりますね。しかし、10月の前後の月を見ても、9月は21%、そして11月は18%となっていて、
7月8月の例のような月ズレの数値ではないことがわかります。
では、この10月には何が起こっている可能性があるのでしょうか。
ここで考えられる理由は2つあります。ひとつは、大半の製品の標準原価率を20%に設定しようと努力をしていたとしても、
すべてには行き届かず、製品の値が高いからやむなく、原価率を高く設定してしまっているものや、
特別な時期だけに取引を行なう顧客からの値引き要求などによって、10月の売上高の多くを占められてしまった場合が考えられます。
そして、ふたつ目の理由としては、滞留在庫を評価損として計上し、廃棄して、在庫が削減されたという可能性があります。
滞留在庫とは、倉庫に入ってから、新たに入庫することもなく、
ましてはラインに出庫することもない部品や材料が長期に渡って存在していることを指します。
その期間を1年と規定する企業もあれば、1ヵ月だと規定する企業もあります。その期間は扱うものによってまちまちです。
機会工作系の部品などであれば、前者の期間でしょうし、生鮮食品などを取り扱う企業であれば後者でしょう。
もっと短くなる可能性もあります。なんにせよ、こういった動かない在庫は「売れない」、「利用しない」、「必要とされない」在庫であって、
評価は0になってしまい、長期滞留とされる期間が来てしまった時に、評価損として計上され、廃棄となり、在庫を減らしてしまい、
その月の売上高に対する原価率が相対的に上がってしまい、必然的に限界利益率が下がってしまうのです。
よくおわかりでしょうか。今回でとりあえずは在庫管理の論点は終了となりますが、また何か気づきや発見があれば、また発信していきます。
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橋口 敦史
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