「結局、評価制度を導入しても上手くいかない」
――― そんな声を必ずと言っていいほど、全てのお客様から言われます。
社員全員が納得する評価制度なんて作れない。
確かにその通りです。
成果中心の評価基準を設定すれば、会社の決まりを守らなくても結果だけを出していればいいということになります。
また、本人の頑張りとは関係ないところで成果が上がったとしても、昇給していくということにもなります。
一方で、成果ではなく、行動中心の評価基準にすれば、成果を上げなくても一生懸命やっていれば昇給することとなり、
成果を上げている人よりも上げていない人の方が昇給することも起き得ます。
じゃぁ、評価制度なんかないほうがいいんじゃないか?
決してそんなことはありません。
評価制度がない会社が向かう先は、必ず大量離職です。
なぜなら、何を頑張れば評価されるのかわからない会社になるからです。
評価制度において、最も重要なことは、会社が社員に何を期待しているのかを明確に伝えるという機能です。
会社が社員に何を期待するのか?
それは会社の状況によって異なることがありますが、基本的には会社の成長です。
会社の成長とは長期の視点です。
短期の視点では会社の成果が求められますが、会社は1期だけ良い結果を出せばいいというものではないので、持続的な成長が社会から期待されているのです。
つまり、評価制度を構築するにあたって、最初に考えなければいけないことは、会社の理念やビジョン、方向性などの目的・目標です。
これに対して、どれだけ成長していきたいのかが会社から社員への期待になるからです。
評価制度を導入して上手くいかない会社のほとんどが、評価制度の目的を勘違いしているからです。
短期の成果にフォーカスすれば、評価制度はおかしな方向へ進んでいきます。
成果主義とかプロセス主義とか、そういう問題で語られること自体が誤りで、成長に対してどんな成果・プロセスが取られているのかを考えれば、成長の段階に応じて評価基準となり得ます。
評価基準を間違えていたのではなく、評価制度の目的自体を間違えていたから上手くいかなかったのです。
でも、こんな気づきも、評価制度を始めてみなければ気づけません。
本気で評価制度と向き合う規律を会社に導入すること。
本気になって評価制度を運用させると、自分たちが設定すべき評価基準が見えてきます。
やってみるとわかりますが、最初の1年間はなかなかしっくりきません。
なぜなら、自分たちがどんな評価基準を設定すべきかが見えないからです。
でも、1年を超えれば
必ず評価制度の目的が理解できてきて、
評価基準に対する考え方が
変化してきます。
いつから始めても1年は要します。
それなら今から始めてみるべきでしょう。
早すぎるということも遅すぎるということもありません。
始めなければ始まらない。それが評価制度です。