こんにちは
株式会社東京コンサルティングファームの小林です。
前回は、良いマニュアル化とは何かについて考えてきました。
しかし、このブログをお読みの方の中にも、マニュアル化したはずなのに、どうも標準化できている気がしていないという経営者の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
これは、マニュアルが正しく「使われて」いないということが原因です。
同じメンバーが同じ業務を繰り返し行っている場合、当然ですがマニュアルを見なくても皆ができるようになっている状態です。
ここに大きな落とし穴があります。
つまり、マニュアルを誰も見ていない状態が長い期間続くと、そのうちマニュアルがどこにあるのか?を誰も把握していない、もしくは何らかの手続きの変更があった時も、マニュアルにそれをタイムリーに反映させることを誰もやらない、ということが起きます。
ここで、いきなりメンバーの1人が退職して新人を採用した、もしくは人員追加で新しい人を入れたときに、結局マニュアルを使っての教育がなされないということになります。
つまり、マニュアルが使われる状態にするためには、マニュアルを使って仕事をしている人間が継続的に存在している状態を作り出さなければなりません。
ここで必要になってくるのが、ジョブローテーションです。
担当者を定期的に入れ替えて、あまりその仕事の経験がないメンバーを意図的に作り出すという仕組みが必要になります。
マニュアルを作れば万事うまくいくのではなく、そこにローテーションを組み合わせることで、初めてマニュアルが生かされるようになるのです。
ジョブローテーションをすると、未経験者が社内のあちらこちらにでてくるわけですから、最初のうちは社内が混乱することも予想されます。しかし、混乱するという事象こそ、マニュアルを活かし、混乱しないような仕組みを作っていくチャンスとも考えられます。
最近、ジョブ型の働き方というのが流行っていますが、これは人を特定の仕事に固定的に当てはめるという風に誤解している方が多くいるように見受けられます。
本当の意味でのジョブ型というのは、ジョブを明確にして、そこに流動的なアサインメント(担当割り当て)ができるように仕組みづくりをしていく。その上で、仕事の成果に対して適切な報酬が与えられる仕組みにしていくということだということです。
さもなくば、退職・異動などの事態に対処ができない組織になってしまいます。
ジョブローテーションを行うことで、マニュアルが常に使われ、さらに新しい担当者が今のマニュアルが使いづらいと思えばその内容をより分かりやすく作り変えることもできるようになりますし、業務のプロセスが変化した時にも随時その内容をアップデートすることも可能になります。
こうして、マニュアルが日々グレードアップしていけば、いつしかローテーションを繰り返しても、新人がすぐに戦略になるような仕組みが出来上がっていくはずです。
経営では、今一時の楽を選ぶと、長期的には苦しむことになるということがたくさんあります。
逆に、今我慢して負荷をかけてでも仕組みを作ることに注力すれば、将来長期的に楽に成長できるようになるのだと思います。
これまでロワーマネジメント業務について何回かに分けて考えてきました。
次回よりミドルマネジメントの仕事について述べていきたいと思います。
以上、お読みいただきありがとうございます。