【経営が上手くいくための!財務分析】5

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【経営が上手くいくための!財務分析】

<利益=キャシュにならない理由>

利益とキャッシュの差異、については4つの大きな理由があります。

1)掛取引

仕入も販売も現金即決の取引でない限りは、
売掛、買掛、未払、未収入といった、
お金のやりとりを翌月以降に繰り越す、という掛取引が行われています。

売上は今月末で、顧客からの入金は2ヶ月後の月末の場合、
2ヶ月間はキャッシュが入ってきません。

これによって、売り上げは十分にあるのに、顧客からの入金が無くて
仕入の支払いが間に合わない、といった状態が発生します。

 

2)固定資産の購入、減価償却費、引当金

固定資産の購入は、費用に一括で計上できない場合、資産になります。
減価償却費として何年にも渡って分割して費用を計上する場合には、
その分資産として残りますので、キャッシュとの差が開いていきます。

その他、費用項目に入れている賞与、退職給付などの引当金は
実際にはまだ出費していませんので、利益とキャッシュの差が生まれます。

3)在庫と売上原価

製造業で気を付けなければならないのが、こちら。

材料費や運送費など製造費用は先に支払済みですが、
製品や仕掛品として残っている場合は、
その費用分は資産になります。
キャッシュと利益の大きな差異の出る要因になります。

4)会計と税務の差異

会計は、会計期間中の売上と費用を正しく計上するものですが、
税務上の費用として認められない場合は、実際に支払をしていても
費用化できず、利益が増えてしまいます。

<利益とキャシュの悲劇>

<事例1>

親会社に増資を依頼したところ、
「売上が上がっているのになぜキャッシュが足りなくなるのか」、と指摘を受け、
調査したところ、売掛金の回収漏れであったことが判明した。

・・・特に海外では、顧客が入金期日を守らないことがあります。
回収までをしっかり管理しておかないと、キャッシュのショートに繋がります。
売上高を重要視している場合に起こりやすい事例です。

<事例2>

高額な設備投資を行ったが、減価償却により費用化できたのは一部であったため、
予想よりも利益が出てしまい、
キャッシュ不足により税金が支払えなくなり、借入することになった。

・・・設備投資時には、キャッシュアウトが大きくなるため
減価償却費と税金支払いのシミュレーションを作成し
キャッシュが確保できるかどうかの投資計画をしっかり作ることが重要になってきます。

<事例3>

利益額が毎年安定しており、安心していたが
実際は在庫過多、不良在庫で資金ショートに陥っており
固定資産を売却することになった。

・・・利益が出ていても、全く安全ではありません。
利益=キャッシュではなく、
商品や、固定資産に変わってしまっているからです。

<食わず嫌いを直しましょう>

社長さんはとにかく損益計算書を見るのが好きですが
貸借対照表とキャシュフロー計算書はよくわからないので見ていない、
という方が多いです。

それはまさに、黒字倒産(利益が出ているのに、キャッシュ不足で倒産)の
足音が近づいてきていることに気が付いていない
恐ろしい状態です。

3つの財務諸表をバランスよく理解する事で
経営の安全性を高めていきましょう。

キャッシュリッチで投資も十分にできる会社がもちろん一番なのですが、
いざ、事業が崩れそうになったときに助けを求めても
誰もお金を貸してくれません。
日ごろからの会社の健康維持に気を付けましょう!

 

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