買収や株式譲渡について①近年の動向

法務

いつもお世話になっております。東京コンサルティングの早川でございます。2017~18年のインドネシアへの進出方法として、すでにインドネシアにある(日系/非日系)会社を「買収」する、という方法が目立ちました。あるいは、既存の合弁企業が、日本本社の株式比率をさらに拡大するために、「株式譲渡」を行うという例もございました。

今回からはこの株式譲渡について頂いたご質問等を、複数回の記事に分けてお伝えしていきます。まずは、上記にもあるような動きが、なぜ起きているのか、についてお話します。

進出方法として、新しく法人を設立するのではなく既存の会社を買収する、ということのメリットとして、もちろん既存の顧客やネットワークが既にあるため、一からスタートするより、売上の目途が立てられるという事が考えられます。これはインドネシアだけではなく他国でも日本でも同じことが言えます。
インドネシア特有の理由として、最低100億ルピアの投資規制をクリアする必要がなくなる(場合がある)というのも、法人設立より買収を選択するメリットでございます。
多くの企業様が新規法人設立を拒まれる理由である、「(基本3年間で)100億ルピアの投資をしなければならない」という規制は、新規法人(外資法人としての恒久営業ライセンスを持っていない会社)を対象としております。
既存の会社のうち、①すでに外資が入っており、かつ②恒久営業ライセンスを取得している会社を買収すれば、100億ルピアの投資を新たにする必要はないとされています。これが、買収のメリットといえます。

一方、既存の合弁会社が日本本社の株式比率を増やすための株式譲渡ですが、これは外資規制の緩和があった企業様が主に行っていることでございます。例えば、設立当時の規制では51%までしか外国資本が参入できなかったところが、2016年のネガティブリスト改訂により67%まで改訂できるようになった場合で、日本本社側が、合弁先が持っている株式を買収することで、67%の株式を持ち、より日本本社側の決議が通りやすくする、という背景がございます。

さて次回からは、実際に株式譲渡を行う際の注意点についてお話してまいります。

 

早川 桃代

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