海外子会社への機械設備等の搬入について

税務

こんにちは。東京コンサルティングファームの長澤です。
今週は、海外子会社への機械設備等の搬入について書きたいと思います。

日本の生産機能を海外に移管するケース、例えば、海外現地法人のメーカーが設立後に機械設備等を搬入するケースがあるかと思います。日本法人で使っていた機械を、海外子会社に搬入して生産を開始するようなケースです。

一つの企業グループとして考えると、「グループ間(内)での機械の移動」ということですが、この場合には、「日本法人からの機械の購入」という形の取引処理を行う必要があります。「購入」ということは、「売買取引」に該当するため、移転価格税制上の問題から、通常の第三者に対して販売するのと同じ金額を設定して取引を行う必要があります。
つまり、親会社から単純に生産設備等の機械を搬入する、付加価値を生まない取引であっても、販売・購入というかたちでの金額設定を行う必要があります。

日本の法人税法上は、法人間の物品売買の際には「時価」で取引を行うこととされています。もし、日本法人から海外現地子会社へ利益を乗せずに「帳簿価格」で販売するような場合には、「相当の理由」が無い限り、認められないものと考えられます(つまり、利益を乗せずに販売することがやむを得ない、経済合理性があるということを税務当局に対して説明し納得してもらう必要があります)。

このような移動に際して、もう一つ気を付けるべき点は、関税上の問題です。
例えば、日本からの販売価格に利益を乗せない場合、又は非常に少ない名目的な利益を乗せて販売する場合、海外現地法人の購入価格が本来の購入価格少なくなります。購入価格が少なくなるという事は、関税計算のベースになる関税評価額、関税額が少なくなるため、関税を管轄する税関等より現地法人側で指摘を受ける可能性があります。

つまり、海外の関係会社より機械等を搬入するようなケースの場合、「移転価格税制」と「関税(輸入側)」の両方の問題が絡んできます。

このような問題に対して、日本側のリスクを排除しようとすれば、逆に海外現地法人側でのリスクが高くなり、この逆もしかり、と、リスク0の正解を求めようとするとどんどん話が複雑になってしまうため、取引全体を見た上でどのリスクを一番回避すべきか、といった視点からの検証が必要となってきます。

特に、機械の価格が数千万、数億といった高額になるような場合には、税務当局等から上記のような指摘を受ける可能性が高くなるため、リスクが懸念される場合には、実際に取引を行ってしまう前に、事前に当社ご相談をいただければと思います。

以上

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