いつもお世話になっております。東京コンサルティングの早川でございます。2018年レバラン明けより突如導入された許認可統合システム「OSS(Online Single Submission)」。これにより、どのようなトラブルが起きているのか、これまでと違って注意しなければならない点は何なのかをご紹介します。
今回は、100億ルピアの投資義務と、OSSシステムから出るライセンスについてご紹介いたします。
<100億ルピア投資に関する基礎知識>
現在、新しく企業を設立しようとすると、「(3年間以内に)100億ルピアの投資が必要である」というレギュレーションがございます。この規制の対象から外れるのは、この規制の前までに恒久営業ライセンス(IUT)が取得出来ていた企業が挙げられます。
逆にこの規制の前に、恒久営業ライセンスを持っておらず、原則許可(Izin Princip)しか取得していなかった人は、基本的に100億ルピアを投資すれば、営業ライセンスが取得できます。
<誰が100億ルピア投資しているかを管理・確認するのか?>
OSS導入前、この投資がなされているかは、投資調整庁(BKPM)が管理しておりました。設立時、投資計画をBKPMに提出し、定期的に投資活動報告書(LKPMレポート)を提出する義務がございました。そして、投資完了前までの一時的なライセンス(原則許可/Izin Princip)の期限が切れ、恒久営業ライセンスを取得するタイミングで、100億ルピア投資があるか確認されておりました。もし投資がなければ、恒久営業ライセンスが取得できませんでした。
しかしながら、OSS導入後、OSSシステムから発行される営業許可は、「100億ルピアの投資前までの仮のライセンスなのか」「(100億ルピアの投資が既に済んでいるため)恒久的なライセンスなのか」ということが明記されておりません。
一方で、LKPMレポートは引き続き、BKPMに提出の義務があります。BKPMが、この3年間を超えたところで投資が完了していなかった場合に指摘をしてきた例はございません。もちろん、OSSシステム上で自動的に警告を出してくれるということもございません。
これは、OSSシステムは経済調整庁が管轄しており、100億ルピアの投資義務というのはBKPMの管轄であるために起きる差でございます。今後は、OSSシステムもBKPMの管轄になるという発表があったため、このような差がなくなることが期待されます。
<特にお困りの例>
OSS導入前の0~2年前に設立された企業様に関しては、恒久営業ライセンスは取得しておらず、100億ルピアの投資も完了していなかった、というケースもよく見られます。
そのような状況でOSSシステムに登録した場合でも、特に期限を設けられたり、「投資義務を満たせなければライセンスが取り消しになる」などの案内をされたり、といったことはございません。本来、BKPMの規制に従えば、このケースの企業でも投資義務を満たさなければなりませんが、OSS担当官は、投資義務がない、と判断しています。
しかしLKPMレポートの報告義務はあるため、BKPMから投資義務を満たすよう催促がある可能性はあると弊社では考えており、引き続き投資義務を満たすことを推奨しております。
OSSがBKPMの管轄になることで、これらの不明点が明瞭化されることを期待し、また進展がございましたら、まとめさせていただきます。現時点の情報となりますが、ご参考になれば幸いです。
早川 桃代