従業員のモチベーションを担保する給与設計のポイント①

労務

私がインドネシアに来て、4年ほどですが、一番苦労しているのは、人についてです。おそらく、他の会社についても同じことだと思います。従業員のモチベーションを維持するという意味においては、給与設計というのも一つ検討することが必要です。マズローに言わせれば、給与のような物資的充足は、モチベーションを下げることはあっても、長期的に高めるための道具にはなりえないわけですが、管理者としては、やはり、明確な給与設計を作り、それを運用するというのは、重要なことです。
機会を見つけて、給与設計のポイントをQA方式で紹介していきたいと思います。

Q.インドネシアにおいて、給与設計上、固定給と変動給、また、固定給のなかに、基本給と固定手当があり、それぞれ、基本給が75%以上を占めるように、法定されています。そもそも、なぜ、基本給を厚くするように、インドネシアの法律上、規定されているのでしょうか。
固定給が、残業の基礎になるのであれば、基本給と固定手当を分ける意味はあるのでしょうか。

A.インドネシアの労働法、というより、給与設計全般に言えることですが、企業が基本給をベースに置くのは、昇給の可能性を残し、給与設計に柔軟性を持たせるためです。基本給は、会社によりますが、
1.年齢、勤続年数のような会社の共通指標
2.パフォーマンス、のような数値指標
3.リーダーシップ、マネジメント能力、ロイヤリティのような定性指標

といった考慮要素のもとに、会社が個人に対して与える評価です。一方、手当は、会社が一定のルールのもとに、様々な目的、職能に合わせて、一律に付与するものです。手当を厚くしてしまうと、給与体系上、柔軟性がなくなり、能力そのほか、会社が設定する目的にそった評価ができなくなります。また、必要の無い手当をつけることは、手当を付与した目的を薄める原因となります

したがって、給与設計上は、基本給の昇給基準と、昇給率を明確に規定し、人事考課とリンクさせるとともに、付加的に、目的に応じて(例えば、従業員の福利厚生のために、家族手当や日本語の話せる社員を優遇し、従業員のなかに意識づけをする)手当を付けるのが理想です。

まず、会社が必要とする人材をイメージしてみましょう。そこから、評価項目を抽出し、基準を作成しましょう。給与の昇給曲線は、その後に決めます。

評価項目で、カバーできない部分で、会社が補てんするべきもの、がある場合、手当として付加的に利用する、この順序がポイントです。明確な基準設定と運用により、先ほどのマズローの欲求5段階説でいえば、評価により、自己認知欲を満たすことを促すことができます。そのための道具として、人事考課と給与があるということを、われわれ、経営者の立場で忘れてはなりません。あくまで、給与は、自己認知欲を充足させるための道具という意識が必要になると考えます。

 

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