(1)なぜ財務分析が必要なの?
経営には悩みや問題点がつきものです。
どうしたらもっと経営がうまくいくのか?
何から手をつければいいのか?
そもそも何が問題なのか?
その問題を考えるベースとなるのが、財務分析です。
財務分析は企業にとっての健康診断です。
血液の流れ(キャッシュフロー)の滞りはありませんか?
無駄な贅肉(在庫や固定資産)はついてませんか?
病気(利益率低下)になってませんか?
その状態を知ることにによって、
外科手術(リストラや抜本的な改革)なのか
漢方薬の処方(理念の浸透や教育)なのか、
行動改善による健康増進(改善行動)なのかという
「どうやって手を打つか」がようやく見えてくるわけです。
(上記は一例)
そもそも原因が運動不足なのに、薬で無理矢理何とかしようとしたら
かえって体を壊してしまいます。
まず自分自身の体(経営の現状)を知ることが、第一です。
(2)経営が上手くいっているかどうか知りたい!
まずは財務諸表の構造を知る。
それでは、一番簡単な財務分析をしてみましょう。
問:
財務諸表の内、一つしか数字を見ることができないとしたら
どこを見て会社の状況を判断しますか?
答:
繰越利益剰余金
売上、純利益、総資産と答える方もいらっしゃるかもしれません。
いくら今期の売上や利益が高かったとしても、
潤沢な資本や資産をもっていたとしても
それだけでは経営が上手くいっているかどうかは判断できません。
繰越利益剰余金は、会社毎年生み出してきた純利益のうち、
振替や処分されていない金額です。
創業年数で割ってみましょう。
1年間あたりの平均利益=会社がどのくらい利益を残せたのかがわかります。
あまりの少なさにびっくりされる社長もいるかもしれません・・・。
ここが毎年減っている、もしくはゼロ、マイナスの場合
事業構造にそもそも問題がある場合がほとんどです。
財務分析をする前に、財務諸表の構造について理解しておきましょう。
<貸借対照表>
右側(貸方)には、事業の資金をどこから調達したか、
左側(借方)には、調達した資金をどう運用したかが示されています。
負債は流動負債と固定負債からなります。
勘定科目はキャッシュに還元し易い順に上から並んでいます。
流動資産(短期収入)は多いほど、流動負債(短期支払)は少ないほど、
資金繰りが楽になります。
※ただし未回収の売掛金や、売れないままの商品などに注意が必要です。
<損益計算書>
資産の運用によって売り上げた金額が右側(貸方)に、
左側(借方)には、売上を生み出すためにかかった費用と、
その差額=利益が示されています。
コストオーバーの場合は、右側(貸方)に純損失として記載されます。
<お金の流れ>
貸借対照表の右(調達)から左(運用)へ流れ、
損益の左(費用)から右(売上)へ。
そこで残った利益がまた貸借の右側(調達)に入るという
循環の構造になっています。
次回は、分析の基本についてお話いたします。
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