【経営が上手くいくための!財務分析】
(3)分析の基本は比較から
財務分析をする際の着眼点についてお話しましょう。
A社の2005年の売上高が90億だったとします。
これは、いい数字ですか?悪い数字ですか?
90億あればいい数字だと思うかもしれません。
では、他の事業年度と比べてみましょう。
2004年は27億、2006年は20億に減ってしまいました。
2005年は外部要因によって売上が一時的に増えたことがわかりました。
他社と比較してみます。
B社は毎年売上高30億をキープしており、市場の動きにあまり左右されていません。
外部要因で利益が左右されないよう、流通の見直しやコスト削減の対策をしています。
つまり、財務分析は、今期、今月の単体の数字ではあまり意味をなさず
比較することで初めて、分析することが可能になります。
1)過去実績との比較
2) 他社との比較
3) 部署ごとの比較
4) 目標との比較
そして、金額ベースだけでなく、比率(%)と両方で分析する必要があります。
(例)
10億利益があるC社と利益30億のD社、
どちらがいい会社だと思いますか?
金額だけ見れば30億の会社です。
しかしD社は30億の利益を生み出すために、
2000億の売上と従業員1200名が必要です。
利益率1.5% 一人あたり利益250万円
C社は10億の利益を生み出すために、
100億の売上と従業員200名が必要です。
利益率10% 一人あたり利益500万円
規模もビジネスの内容も全く同じという企業はないので、単純比較はできません。
利益と多くの雇用を生み出しているという点ではD社が評価され
事業の効率性ではC社が評価されます。
分析は、あるひとつの見方だけでなく
様々な確度から多面的に分析していくことが重要です。
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営業出身の方は、売上高を重視しがちで
製造出身の方は、原価コストを重視しがちです。
それによって利益や財務状態、経営全体が見えていないことがよくあります。
経営は、全体を見通す視野と、そこから問題を見つけ出し、
課題解決まで落としこむ力が必要です。
財務諸表は、企業のカルテです。
毎月の健康診断によって、黄色信号に気が付き
素早く手を打つことができます。
財務諸表を読み分析し、実際の経営、未来の経営に活かしていただく方法を
私達はお伝えしていきます。
次回は、利益とキャッシュの違いについてお話いたします。