法律改正重要論点紹介~最新の法律改正の状況をお送りします~
■BPJS施行と今後の改正の行方
BPJS制度が7月1日より改正になりました。6月号でも取り上げましたが、今一度概要をお送りします。政令が新たに発行されており、6月にご紹介した時より、年金部分の料率、ならびに上限値/月の設定が追加、変更されております(政令46号/2015年)。
BPJS制度概要
健康保険と社会保険(年金・労災・死亡)
BPJSは、2種類のタイプが存在し、一つが、健康保険、もう一つが年金制度、労災制度、労災の中の死亡保障を混合したものですが、ここでは、社会保険と呼称しておきます。
以上、健康保険、社会保険の2種類が存在します。
加入義務
健康保険の加入義務は、企業区分が明確ではありませんが、外国投資企業は現状、すべて加入の義務があると考えるべきです。社会保険もまた同様です。
外国人の取り扱いにつきましては、今回のBPJSについては、健康保険、社会保険両方で、6ヶ月以上の滞在者には、加入の義務が規定上、明記されております。
料率
各保険の料率は下記のとおりです。
健康保険 |
会社負担 4%, 従業員負担1% |
【給与上限】 Rp. 4,725,000/月 /家族5人まで 一人当たり,189.000ルピアが上限
|
社会保険① 老齢給付 |
会社負担 2%,従業員負担 1% |
【給与上限】Rp7.000.000/月 |
社会保険② 労災保険 |
1段階 0.24% |
【給与上限】設定なし 会社の業態の危険度に応じて、5段階の料率区分になっています。 |
2段階 0.54% |
||
3段階 0.89% |
||
4段階 1.27% |
||
5段階 1.74% |
||
社会保険③ 死亡保障 |
0.30% |
【給与上限】設定なし |
しかしながら、BPJSの運営自体は赤字であり、老齢給付の料率の値上げが検討されております。政府は、毎年の見直しを行い、段階的に、老齢給付の料率を8%まで引き上げるという指針を発表しております。
また、老齢給付は、以前は、加入から5年後で、インドネシアにて労働していないものに対しての還付という条件で還付されるとされており、還付期間が短く、財政上問題ないのか、懸念されておりましたが、7月1日より、老齢給付の受け取りを56歳からとし、解雇された場合、あるいは、定年前に退職した場合でも56歳まで受給できないものと定めました。給付の部分受取は可能であり、勤続10年で住宅用に最大30%、その他の用途に最大10%まで可としています。