中国の経済成長と税制度2

こんにちは、中国・上海の田中勇です。

前回の続きです。

この中国の税収の7割近くを占める付加価値税の税制度には、重複課税問題があります。増値税は貨物の販売と加工業務について課税、営業税は役務と不動産と無形資産に課税することになっております。さらに、ここでの役務とは、交通運輸業、建設業、金融保険業、郵便電話通信業、文化体育業、娯楽業、サービス業を指します。

増値税では、仕入税額控除制度があり売上税から仕入税を控除することができます。ところが、営業税は総収入に課税します。したがって、営業税課税対象である原価・費用に相当する部分の営業税は、課税対象税から控除することができないのです。例えば、下請企業に支払う代金に含まれる営業税は控除できません。すると、元請企業の総収入に営業税が課税され、さらに下請企業の総収入にも営業税が課税されて、取引段階ごとに営業税が二重課税されるのです。また、営業税の納税者が物品を購入してサービス提供をした場合、購入物品に課税された仕入増値税を総収入に係る営業税から控除できません。つまり、ここで支払った仕入増値税は控除できませんので、そのまま原価コストとして処理されることになります。

以上のような不都合を解消するため、中国では増値税改革が進められております。具体的には、2012年1月1日より、一部の地区と業種において、段階的に当面の営業税を課税している業種を増値税課税に改めるという内容です。実際に上海市では交通運輸業と一部の現代サービス業等が増値税の対象となっています。
今後も増値税改革が進められ、付加価値税制度の不公平が解消されていくことでしょう。

増値税改革が進められていく中で、増値税収は確実に減っていくと考えられます。北京では、改革の実施により年間165億元の減税につながると見積もっております。今後、中国の税収としては、所得税が強力な税収源となるでしょう。実際に、3年前に比べて所得税収が4倍以上になってきております。この増えた原因は、税収の摘発が厳しくなったことと国民全体の所得が上がってきているのが影響しております。今後も所得と消費が増えていく中国。税収が伸びていくのは間違いないと覆います。その税収をどう分配し、中国経済を活性化させていくのか。習金平の行動にも注目です。

以上です。

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