1.直接買収
(1)直接買収とは
外資が中国対象会社の投資家から直接的に株式を取得し、または新株の引受を行う事をいいます。直接買収取引は、中国において行われるので、中国政府の承認を取得する必要があり、これには時間と費用を要し、かつ行政の影響力が非常に大きいです。
外資が中国対象会社の投資家から直接的に株式を取得し、または新株の引受を行う事をいいます。直接買収取引は、中国において行われるので、中国政府の承認を取得する必要があり、これには時間と費用を要し、かつ行政の影響力が非常に大きいです。
(2)長所・短所
中国企業に外国投資家がまだ参入していない場合、外国投資家にとって当該中国企業のエクイティを買収するにはこの方法しかありません。買収企業として当該中国対象企業の資産・事業につき移転すべきものとそうでないものに分別する必要がありません。そういう意味で、直接買収は、営業譲渡と比較して、日本と同様、手続き上、簡単な方法と言えます。
しかし、オフショア/間接買収と異なり、中国政府の承認を要する点は短所といえます。時間がかかる上、中国政府に株式契約の内容を調査させる機会を与えることになります。また、特に国有企業の買収においては、資産勘定要件の適用を受ける可能性があります。尚、有限責任の利益を受けるものの、偶発債務も含め全ての債務をエクイティの取得割合によって包括取得することになるという点でリスクが高いです。
中国企業に外国投資家がまだ参入していない場合、外国投資家にとって当該中国企業のエクイティを買収するにはこの方法しかありません。買収企業として当該中国対象企業の資産・事業につき移転すべきものとそうでないものに分別する必要がありません。そういう意味で、直接買収は、営業譲渡と比較して、日本と同様、手続き上、簡単な方法と言えます。
しかし、オフショア/間接買収と異なり、中国政府の承認を要する点は短所といえます。時間がかかる上、中国政府に株式契約の内容を調査させる機会を与えることになります。また、特に国有企業の買収においては、資産勘定要件の適用を受ける可能性があります。尚、有限責任の利益を受けるものの、偶発債務も含め全ての債務をエクイティの取得割合によって包括取得することになるという点でリスクが高いです。
2.オフショア/間接買収
(1)オフショア/間接買収とは
一方、外国企業は、中国の対象企業の海外親会社から株式の全部または一部をオフショアで取得する方法があります。ただし、この方法は、中国の対象企業が既に外資参入を許容している場合に限ります。このオフショア取引は、その海外親会社に適用される法制度に従って実施されるので、独禁法等の問題が無い限り、中国政府の承認は必要としません。但し、この海外親会社の株主が中国人であれば、中国の外国為替管理主管機関に一定の書類を提出することになります。
一方、外国企業は、中国の対象企業の海外親会社から株式の全部または一部をオフショアで取得する方法があります。ただし、この方法は、中国の対象企業が既に外資参入を許容している場合に限ります。このオフショア取引は、その海外親会社に適用される法制度に従って実施されるので、独禁法等の問題が無い限り、中国政府の承認は必要としません。但し、この海外親会社の株主が中国人であれば、中国の外国為替管理主管機関に一定の書類を提出することになります。
(2)長所短所
この手法の場合、対象会社の資産もエクイティ構造も全く影響受けることがなく、更に取引自体が完全に中国国外で行われるので中国政府の承認を要しません。従って、条件が揃えばもっとも簡易な方法であると言えます。また、対象企業の持分権者間の合弁契約によって、他の分権者からの同意が必要とされない場合があります。
ただ、条件が揃わないと意味がなく、純粋な中国国内企業には用いることは出来ません。また、この方法はエクイティ取得の場合のみ認められており、次の営業譲渡には認められません。
この手法の場合、対象会社の資産もエクイティ構造も全く影響受けることがなく、更に取引自体が完全に中国国外で行われるので中国政府の承認を要しません。従って、条件が揃えばもっとも簡易な方法であると言えます。また、対象企業の持分権者間の合弁契約によって、他の分権者からの同意が必要とされない場合があります。
ただ、条件が揃わないと意味がなく、純粋な中国国内企業には用いることは出来ません。また、この方法はエクイティ取得の場合のみ認められており、次の営業譲渡には認められません。
3.営業譲渡
(1)営業譲渡とは
外資は、中国で設立する、または既に設立した法人を受け皿として中国企業の資産の全部または一部を譲り受ける事ができます。その場合、当然ですが、中国法に基づく手続きに従って中国政府の承認を受けます。
外資は、中国で設立する、または既に設立した法人を受け皿として中国企業の資産の全部または一部を譲り受ける事ができます。その場合、当然ですが、中国法に基づく手続きに従って中国政府の承認を受けます。
(2)長所短所
中国法上、外資による中国企業の営業譲受けはその受け皿として、合資・合作、独資企業の設立が要求されます。外国人個人による資産取得も認められていますが、営業用資産の買収はかかる受け皿の設立が必要とされています。中国においても、営業譲渡において、原則として、対象企業の資産・負債の選択が可能という点で、営業譲渡に長所が認められます。
しかし、エクイティの取得と異なり、営業譲渡は個別の資産・負債の譲渡として構成されるので、個別の資産負債の移転に関して中国法上の形式要件を検討する必要があります。更に、営業譲受けの受け皿の設立につき、中国政府の認可が必要となります。加えて、税務上の利益享受が制限されます。
中国法上、外資による中国企業の営業譲受けはその受け皿として、合資・合作、独資企業の設立が要求されます。外国人個人による資産取得も認められていますが、営業用資産の買収はかかる受け皿の設立が必要とされています。中国においても、営業譲渡において、原則として、対象企業の資産・負債の選択が可能という点で、営業譲渡に長所が認められます。
しかし、エクイティの取得と異なり、営業譲渡は個別の資産・負債の譲渡として構成されるので、個別の資産負債の移転に関して中国法上の形式要件を検討する必要があります。更に、営業譲受けの受け皿の設立につき、中国政府の認可が必要となります。加えて、税務上の利益享受が制限されます。
中国現地法人駐在員 高橋斉志