こんにちは、中国・上海の三輪常敬です。
Q,
2016年10月1日より外資企業の行政審査認可の方法が届出制に変更になると聞きました。それについて詳しく教えてください。
A,
全国人民代表大会常務委員会は9月3日、外資系企業を対象とした「外資企業法」「中外合資企業法」「中外合作企業法」の「外資三法」と、台湾資本の企業を対象とした「台湾同胞投資保護法」の計4つの法律の修正案を採択しました。これまで自由貿易試験区で試験的に実施されてきたネガティブリストによる管理モデルを全国で導入するためのもので、10月1日から施行されます。これにより改革開放以来、30年以上実施してきた外資に対する事前審査許可制に終止符を打つことになりました。
10月1日以降は、外資系企業の設立、変更及び解散の手続きは下記のように変更されます。
○ 企業設立が審査許可制から届出制に変更
現在、企業設立においては、まず商務部門にて審査許可を受けてから、工商部門で工商登記手続きを行う必要があります。10月1日以降は、ネガティブリスト外の外資企業設立では、営業許可証の発行前もしくは営業許可証の発行後30日以内に届け出を行うという手続きに変更されます。これにより企業設立に要する時間が短縮されます。
○ 企業の経営事項変更手続が審査許可制から届出制に変更
現在、外資企業に経営範囲や法定代表人など届出事項の変更が生じた場合、まず商務部門で審査許可を受け、審査許可に合格してから、変更手続きを実施することになっております。
今後は、インターネットを通じて関連書類を提出し、届け出終了後は商務部門からの届出証明書を受領することとなります。これにより変更手続きが簡素化され所要時間も短縮されます。
上記のように、審査許可制から届出制に変更されることによって、外資企業にとって中国への参入障壁は引き下げられることになります。しかし一方で、参入後の日常的な管理は強化され、違反する行為への罰則規定も明確化されました。今後は経営活動におけるコンプライアンスに対してよりいっそうの注意を払うことが必要となると思われます。