減給処理について

こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日は、減給処理についてお話します。

 

中国では減給処理で注意すべきことは何か、という質問を多く受けます。中国での減給処理における法規と注意すべきことに焦点を合わせながら、ご説明します。

 

中国には、報酬額の減額について直接的に明記している法律はありません。ただし、減額できる条件としては、下記が考えられます。

 

①最低賃金基準を下回らないこと。

②中国の法律に従い、社内規則制度を整備等していること。

 

①については、中国の最低賃金基準が各地方により定められていますので、減額後の賃金は最低賃金基準以上の金額にする必要があります。(最低工资规定)なお、最低賃金の計算において、時間外労働による計算は含まれないこと。また地域によって計算方式が異なることに注意が必要です。ちなみに、上海における最低賃金の計算は、時間外労働、夜勤・有害等の特殊な環境下にある場合の手当、社会保険料や住宅積立金、食事手当・通勤補助手当・住宅手当」が含まれません。(关于调整本市最低工资标准的通知 上海市人力资源和社会保障局)

②については、報酬額について、労働契約書または就業規則等に明記している必要があります。また、従業員の利益に密接な関係を持つ重大な事項については、労働組合または従業員代表と平等な協議をした上で、決めたものでなければなりません。さらに、その規則は開示もしくは従業員に直接告知する必要があります。(中华人民共和国労働契约法 第4条)

 

注意すべきことは、処置を受けたスタッフが、その後、退職するケースも多いということです。そのため、減額処置前だけではなく、処置後のサポート(カウンセリング等)も重要です。また、中国の日系企業においては、給与額を労働契約書に直接定めているケースが多いです。そのような企業が減額処理を行う場合は、労働契約書の変更に該当することから、従業員と再度書面にて労働契約を締結する必要があります。(中华人民共和国労働契约法 第35条)上記のような書面での再締結という煩雑な処理を避けるには、「給与の額は別途規則にて給与額を調整する」等の文言を労働契約書に定める等の対策が必要になります。

 

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