こんにちは、中国・上海の田中勇です。
本日は中国市場を分類したマトリックスについて、お話しします。
上海に住む女性は、結婚の条件として、家・車・高収入がよくあげるというのは有名な話です。特に、家に対する執着心は高いと言われております。しかしながら、実際に現地で調査してみると、意外にも家に対する執着心がない人が多くいます。さらに詳しく話すと、地元が上海だと家に対する執着心が高く、河北省等の北の地域だと言えに対する執着心があまりない傾向があります。なぜ、地元によって好みが変わってくるのか。中国市場を分類したマトリックスで説明したいと思います。
中国市場は12の分類に分けることができます。分ける指標となるのは二つです。GDPの額と文化です。
まず、一人あたりのGDPで仮に4つに分けます。①1,000ドル未満②1,000~3,000ドル未満③3,000ドル~5,000未満④5,000ドル以上。さらに、マズローの欲求段階理論を組み合わせると、①は生理的欲求を満たすための消費行動、②は安全的欲求を満たすための消費行動(多くのの商品を比較して購入したいという欲求がおおくなり、スーパーマーケットが流行りだす)、③は社会的欲求を満たすための消費行動(流行を追い求める傾向があり、デザイン重視の消費が多くなる)④は自己実現欲求を満たすための消費行動(個性を満たす商品が流行りだし、専門店を好むようになる)例えばパソコンでいえば、①がレノボ(中国)、②ではエイサー(台湾)、③がソニーのバイオ(日本)④がiPad(アメリカ)という順番で流行りだす傾向があります。
次に、文化では3つに分けます。その3つとは遊牧文化、農耕文化、植民地文化(遊牧文化と農耕文化の融合)です。中国において、北京より北は遊牧文化、成都などの南西に行くと農耕文化が色濃く残っております。さらに、上海や青島等の沿岸部では、アヘン戦争をきっかけとする欧米支配を受けた歴史があることから、植民地文化があります。例えば、車の保有率を見ても、上海よりも北京の方が圧倒的に高い傾向があります(2005年時点で北京は上海の2倍以上の車普及率)。これは、北京市民が遊牧文化として馬の代わりに車を使っての生活を好む傾向があると考えられます。また、製品・車選びにおいても、北京は機能で選ぶ傾向があり、上海はブランドで選ぶ傾向があり、地域によって違いがあります。実際、中国の家電製品の説明書をよく見て買う人は、北京人の方が多いという調査もあります。これは、上海において、ビジネス上では遊牧文化が導入されましたが、生活面では農耕文化が色濃く残っていることが影響していると考えられます。
以上の2の指標に基づいて、中国市場の分類マトリックスが作れます。
文化/一人当たりGDP | ①1,000ドル未満 | ②1,000~3,000ドル未満 | ③3,000ドル~5,000未満 | ④5,000ドル以上 |
遊牧文化 | 甘粛省の農村地帯等 | 河北省等 | 北京等 | |
植民地文化(遊牧文化と農耕文化の融合) | 上海、青島 | |||
農耕文化 | 貴州省の農村地帯等 | 重慶市の郊外等 | 成都、重慶市、 |
以上の区分により、なぜ、地元によって好みが変わってくるのかが、少し見えてきたと思います。つまり、上海の方は生活面では農耕文化が色濃く残るため居住を重視し、生活レベルも割と高く自己実現欲求が強くあるため(マイホームという憧れ)、家を持ちたがるのです。一方、河北省の方は遊牧文化が色濃く残るため居住は重視せず、社会的にもマイホームを持つことは富裕層以外ではメジャーなことではないので、社会的欲求を強く刺激することもないのではないかと考えられるのです。
今回では、指標はGDPの額と文化を取り上げましたが、気候なども加えてくと更に詳細にマーケティングが行えます。
以上です。