製造業から販売業へ

こんにちは、中国・上海の田中勇です。

本日は、これまで中国において製造業から販売業へどの程度シフトしたのか、そして今後の動きはどうなるのか、についてお話しします。

下記は世界の対中投資額を製造業と非製造業に分けたグラフです。
【世界からの対中投資額】 参考 中国商務部、CEIC等より作成

2005年前までは中国に進出する企業は、主として自動車組み立てや自動車部品等の製造業者でした。ところが、2008年ごろから顕著に非製造業の会社の進出が増えてきます。

さらに非製造業の内訳を見ていきます。下記は非製造業の内訳を示したグラフです。
【非製造業の対中投資額】 参考 中国商務部、CEIC等より作成

卸売・小売り等の販売業の投資額が明らかに増えているのがわかります。卸売・小売りの総投資額に対するシェアは、1.2%(2004年)から7.3%(2011年)に上昇しました。

ちなみに、下記は日本の卸売・小売業の対中投資額をしめしたグラフです。
【日本の卸売・小売りの対中投資額】 参考:日本銀行 業種別・地域別直接投資

卸売・小売業の総投資額に対するシェアは、2005年時点では7%でしたが、2011年には15%に上昇しました。投資額は1,506億ドルに達しております。

2005~2011年の間に製造業の投資が減少し、販売業の投資が増大している趨勢がよくわかりました。なぜ、そのような変化が起きているのか。その背景をまとめると以下の三つにまとめることができます。
①市場としての魅力が増した
②製造国としての魅力低下(労働コストの上昇)
③非製造業部門の市場開放(WTO公約)

日系海外現地法人に対して「中国の有望理由とはなにか」を聞いたあるアンケート結果によると、2008年にトップであった「安価な労働力」が2012年には第四位に落ち、現在では1、2位はいずれも中国マーケットに魅力が有望理由にランクインされております。
また、WTO公約に沿って中国が非製造業部門の市場を開放した動きも大きく影響していると考えられます。例えば、流通や金融分野で地理的制限・出資制限が全面的に撤廃され、それに呼応して実際にそれらの分野の投資が動きだしているのです。

上海では「上海市の外資吸収及び公害投資の第12次岡年計画」において、2015年までの期間中、サービス業の外資導入実績の比率を75%に維持する目標を明記しました。ほかの都市についても同じような動きあるだろうと言われており、中国は今後も製造業から販売業へのシフトは加速すると考えられます。

以上です。

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