こんにちは、中国・上海の田中勇です。
本日は上海のサントリービールについてお話しします。
上海における日本食品の価格はほとんどが高いです。日本の米、お菓子、果物などは日本並みかそれ以上です。そんな中、サントリーのビールだけが異常に安いことに驚きます。サントリーのビールは一缶3.5元(約44円)で買えるのです。さらに、コンビニやスーパーなどでは必ずおいてあります。現在、上海におけるビール業界においては、サントリーが33%のシェアを誇り、地元の青島ビールを差し置いてナンバーワンになっているのです。
多くの日系企業が中国事業で苦戦する中、サントリーが成功した要因はなんだったのでしょうか。それは上海という場所に特化した徹底的なマーケティングが成功要因だと私は考えます。
まず、ビールの味です。上海におけるサントリーのビールは、上海人の好みに合わせて薄い味になっております。
2つ目には価格です。キリンや外資系のビールは一缶10元以上の高級品であるのに対し、サントリーのビールは3.5元という庶民的な値段で販売されております。大手卸との合弁解消により、結果的に独資になったため、外資系他社がなかなか挑戦できない大衆ビール市場に参入できたのです。
3つ目は販売流通網です。以前は国有系の卸業者を使っていましたが、販売能力が低く販売網も複雑だったため、結果としてビールの販売実績が管理できず、売れなかった時期がありました。それが現在では、民営の卸業者に数百の小売店を担当させることで、販売流通を単純化させ管理しやすくしたのです。
4つ目は販売促進です。大手ビール業界の中でも販売促進費が高く、飛行船でCMをするなど販売促進にかなり力を入れていることがわかります。
先日、サントリーは、青島ビールと上海市・江蘇省における合弁会社を設立することで合意したという発表がありました。サントリーは、上海のすぐ北にある江蘇省には苦戦しているようです。一方、青島ビールは上海においてサントリーに負けていたことから、サントリーに提携を持ち込んだと言います。
海外市場でシェアを伸ばすためには、ユニークで明確な差別化と効率的な流通網が必須です。上海で成功ノウハウを持つサントリーと中国全土に販売網を持つ青島ビールが、どのようにお互いのノウハウを活かすかが重要なポイントになると考えられます。
以上です。